○児童福祉法による育成医療の給付に関する疑義及び回答について
(昭和三一年五月二八日)
(児発第三一〇号)
(各都道府県知事あて厚生省児童局長通知)
児童福祉法による育成医療の給付に関する各都道府県からの疑義照会について、それぞれ左記の通り回答するから御了知ありたい。
おつてこの通知においては、児童福祉法を「法」と、昭和二九年七月一日児発第二九八号通知「身体に障害のある児童に対する育成医療の給付について」を「児発第二九八号通知」と昭和二九年七月二日社発第五○六号通知「身体障害者福祉法による更生医療の給付又は補装具の交付若しくは修理に要する費用の負担能力の認定並びに当該費用の支払命令及び徴収について」を「社発第五○六号通知」とそれぞれ略称する。
なお疑義照会のあつた都道府県については、この通知をもつて回答に代えるものとする。
問一 育成医療により手術及びその他の治療を実施し、退院後、後療法として施術(マッサージ)を必要とし、かつ指定医療機関に通院することが困難(遠隔地等の関係)である場合手術及びその他の治療を行つた指定医療機関の処方により患者の近辺の専門医又はあんま師(マッサージ師)において給付を行つて差し支えないか(長野県)。
答 育成医療の給付は、指定医療機関において実施されなければならないのであつて指定医療機関以外の医療機関又はあんま師への委託診療は認められない。
問二 育成医療意見書等を指定医療機関の専門医師に依頼する場合「育成医療指定医療機関医療担当規程」の第七条によれば無償でこれを交付しなければならないことになつているが文書料として医師が患者より徴収することは出来ないのか(愛知県)。
答 設問中の「担当規程」第七条は、現に診療中の児童について、規定しているのであるから、育成医療の給付前に指定医療機関の担当医師が意見書を作成する場合は、その費用は、患者又はその保護者に請求することができる。
問三 育成医療の給付を行うとき、指定医療機関が満床で委託することができずかつ緊急入院治療措置を要する該当児があつた場合、暫定処置として、法第四三条の三に規定する「肢体不自由児施設」に収容して給付しても差し支えないか(広島県)。
答 「肢体不自由児施設」は、法第二七条第一項第三号により入所措置された児童を入院させることを原則としているので、本件のような事情の場合には、法第二七条第一項第三号の措置によつて入院治療させるべきである。
なお、これに伴う費用は、措置費より支弁されるものである。
問四 「児発第二九八号通知」左記第三の1の(1)に育成医療の申請者は、育成医療を受ける者の年齢に関係なくすべてその親権を行うもの又は後見人となつているが、身体障害児の補装具交付申請の場合は法第二七条第一項第三号の規定により里親に委託され又は児童福祉施設に入所した児童については、当該里親又は児童福祉施設の長が代つて申請出来ることになつている。
育成医療の申請も、児童福祉施設の長が申請することができるか(京都府)。
答 児童福祉施設の長が法第四七条第一項の規定により入所中の児童について親権を行つている場合は、当該施設長が申請者となることが出来る。
問五〜問七(略)
問八 育成医療受療者が、その治療過程において補装具を必要とする場合の補装具の申請及び支払の方法を如何にしたらよいか、又指定医療機関においては、補装具を製作することは出来ないので、補装具製作所に依頼するわけであるがこの場合補装具費の支払はどうしたらよいか(岡山県)。
答 育成医療受療中の児童に対する治療に要する補装具の交付は健康保険法第四四条の規定による療養費払に準じた取扱をすることとしこの場合交付できる補装具の種目及び価格は厚生省告示第一八五号(昭和二九年六月三○日)による「補装具の種目、受託報酬の額等に関する基準」によられたい。
問九 治療用補装具の交付は身体障害者手帳の交付を受けた者に限られるか(岡山県)。
答 育成医療の対象は、「児発第二九八号通知」左記第一の1に明記してあるとおり「身体障害者福祉法第四条の規定による別表に該当する児童又は現存する疾患がこれを放置するときは、将来右別表に該当する程度の不自由をのこすと認められる児童」であつて身体障害者手帳の所持は必要としない。
問一○ 育成医療受療中の児童に対する補装具の交付は育成医療費によつて行うことになつているが、例えば入院治療のみを必要としたもので治療終了後退院の際補装具を着装して退院させる必要のある場合も育成医療費により給付してよいか(和歌山県)。
答 育成医療費により給付して差支えない。なおこの場合当該指定医療機関の医師の指導により充分な装着訓練を実施する必要がある。
問一一 育成医療券交付者に対して、指定医療機関が、育成医療による手術に当り又は手術後、受療者に輸血を行つた場合、輸血報酬として輸血術は健康保険法の診療報酬に準じて受療指定医療機関からの請求によつて支払われるが、血液代金は法規並びに関係通牒にも明示されていないのでいかなる方法によつて請求し公費負担すべきか(大阪府、岐阜県)。
答 輸血の際の血液代金は人血を使用した場合は、健康保険法第四四条による療養費払に準じて取扱れたいこと。
なお、血液の価格は、その地方における慣行料金が定められているのでその価格によられたい。
血液代用剤を使用した場合は、保険給付に準じて取扱い、その診療報酬の点数は、その購入価格が一五円以下の場合は一二点とする。
購入価格が一五円を超える場合は一五円又はその端数を増すごとに二点を加算する。但しその購入価格が六○円を超える場合は一○円又はその端数を増す毎に一点を加算する。