○診療報酬点数表の一部改正等実施上の留意事項について
(昭和四七年一月三一日)
(保険発第六号)
(各都道府県民生部(局)保険・国民健康保険課長あて厚生省保険局医療課長通知)
健康保険法の規定による療養に要する費用の額の算定方法等の一部改正等については、本日付保発第四号をもって厚生省保険局長より都道府県知事あて通知されたところであるが、これが実施に伴う留意事項は次のとおりであるので、その取扱いに遺憾のないよう関係者に対し、周知徹底を図られたい。
なお、従前の通知で今回の一部改正に係る部分は廃止する。
おって、療養費払いの際の療養に要する費用の算定方法は、二月一日以降の診療分について、改正された診療報酬点数表等によって算定するものであるから念のため申し添える。
第一 甲表に関する事項
1 入院料について
(1) 入院時基本診療料が改正されたことに伴い、入院患者の外泊期間中の点数算定は、室料及び看護料のみとし、その他の算定はできないこと。すなわち従前の通知において「すべての加算を除く入院時基本診療料」を「室料と看護料を合算した点数」に読み替えること。
(2) 改正後の看護、給食及び寝具設備の基準による特類看護を申請しようとする病院については、昭和三三年八月二五日保発第五三号通知により示されている基準看護、基準給食、基準寝具設備実施承認申請書及び同添付書類の様式に準ずる様式により承認申請書を提出させ、これによりその確認を行ない承認するとともに当該医療機関及び関係団体等へ通知すること。
(3) 特類看護の承認にかかる前記(2)の手続き及び確認に相当の日数を要する場合にあっては、当該病院の申出により、とりあえず昨年七月一日現在の定時報告又はその後の調査結果等に基づき特類看護の承認を行なって差し支えないこと。
なお、この場合にあっては、事後すみやかに承認申請書を提出させ(2)による手続きをとるとともに、確認の結果特類看護の承認基準に該当しない場合にあっては当該承認を遡及して取消すこと。
(4) 入院時医学管理料を算定する場合の期間の計算は改正前の入院時基本診療料の例により暦日をもって計算するものであること。
(5) 入院時医学管理料は室料を算定できる場合に算定できるものであること。
2 検査について
(1) 精密聴力検査を標準純音聴力検査と名称変更したことに伴い、従前の精密聴力検査に関する通知は廃止し、標準純音聴力検査の測定方法を次のとおりとする。
標準純音聴力検査は、日本工業規格の診断用オージオメーターを使用し、日本オージオロジー学会制定の測定方法により気導聴力(測定周波数二五○ 五○○ 一○○○ 二○○○ 四○○○ 八○○○HZ)及び骨導聴力(測定周波数二五○ 五○○ 一○○○ 二○○○ 四○○○HZ)を両耳について測定する方法をいう。
(2) 標準純音聴力検査に該当しないオージオメトリーについては、一種目につき区分○七一前庭機能検査の「1」に準ずること。
(3) 区分○八九―二胃ファイバースコピー及び区分○九○―二直腸ファイバースコピーが新設されたとともにそれぞれ「注」として生検用ファイバースコープを使用して組織の採取をした場合は、採取料として別に区分○七八臓器穿刺の「2」の所定点数を加算できることとなったこと。
なお、ファイバースコープによる写真診断については、ガストロカメラの取扱いに準じファイバースコピーとあわせて算定することは出来ないこと。
3 投薬について
(1) 入院中の患者以外の患者に対して調剤料を算定する場合の所定単位は従前浸煎薬、屯服薬は、一剤三日分または三回分であったが、それぞれ一剤一日分または一回分に改められ、液剤、巴布薬、散布薬、塗布薬、膏薬、点眼薬、点耳薬、点鼻薬、坐薬、浣腸薬及びこれを準用していたトローチ剤等は一括として外用薬として調剤した量とは関係なく一調剤を所定単位としたこと。
(2) 調剤料の算定は、外来患者に対し一回の投薬が調剤料の所定単位の一○単位分を超えたときに限り、その超えた部分についてのみ調剤料の所定点数を算定できる取扱いは従前どおりであること。
4 理学療法について
(1) 体外照射の具体的取扱いは次のとおりであること。
ア エックス線表在治療とは、管電圧一○万ボルト未満による照射療法をいう。
イ エックス線深部治療とは、管電圧一○万ボルト以上一○○万ボルト未満による照射療法をいう。
ウ コバルト六○遠隔治療とは、大量のコバルト六○線源のガンマ線による遠隔照射療法をいう。
エ 高エネルギー放射線療法とは、一○○万電子ボルト以上のエックス線又は電子線の応用で、ベータートロン、直線加速装置又はマイクロトロン治療装置使用による照射療法をいう。
オ 同一患部に対して十字火照射、切線照射、回転照射、集光照射、振子照射など照射方法の如何を問わず、また二方向以上の照射であっても当該所定点数のみにより算定するものであること。
(2) 密封小線源治療の具体的取扱いは次のとおりであること。
ア 外部照射とは、ラジウム二二六、コバルト六○、セシウム一三七等のガンマ線またはストロンチウム九○などのベーター線による四cm以下の近距離または直接貼付する療法をいう。
イ 腔内照射とは、子宮腔、膣腔、口腔、直腸等の腔内にラジウム二二六管、コバルト六○管、セシウム一三七管等を挿入して照射する場合や眼窩内などにストロンチウム容器を挿入して照射する場合をいい、挿入の手技料は所定点数に含まれているものであること。
ウ 組織内照射とは、舌その他の口腔癌、皮膚癌、乳癌等の癌組織内にラジウム針、コバルト針、セシウム針等を刺入する場合であり、刺入から抜去までの全期間を一回として算定するものであること。
なお、当該所定点数に刺入及び抜去にかかる手技料は含まれるものであること。
エ ラドンシード照射とは、組織内にラドンシード、放射性金粒子等を刺入する場合であって、その使用本数等に関係なく一回につき特定点数を算定するものであること。
なお、当該所定点数には刺入にかかる手技料は含まれるものであり、また「注」によりラドンシードの費用は別に加算できる取扱いは従前どおりであること。
(3) 廃止
5 精神病特殊療法について
(1) 電撃療法を痙攣療法と名称を改め従前の電撃療法及び薬剤注射による痙攣療法は本項によることとしたこと。
(2) 精神科カウンセリングの新設に伴い、従前精神療法に準じていた医師が精神神経症患者等に対し治療として行なった精神科カウンセリングは一回につき本項所定点数を算定することとしたこと。
(3) 精神療法として算定できる回数は妥当と認められる限度に止めるべきものであること。ただし、入院患者については、概ね週一回を標準とすること。
(4) 精神病特殊薬物療法は、第五部投薬として算定することとしたこと。
6 処置及び手術について
(1) 廃止
(準用通知の改廃)
(2) 処置及び手術に関する準用通知については、通則4により通知として示してきたが、今回の改正によりその内容が実態に即さないものが生じたので、これらについては、当面次により取扱うこととしたこと。
ア 区分三四六動脈瘤切除術の「1」及び「2」が項目新設により「1」から「4」の如く改正されたものについては、従前の通知中「1」又は「2」に準ずることになっていたものを「1」は「3」に、「2」は「4」にそれぞれ読み替えるものとし、これ以外のものについても項目配列の改正(例、区分二四九 四肢骨折観血手術等)による同種のものについては、前記例によるものとしたこと。
イ 従前肺全摘除術(新四七一○点、旧三四七○点)にリンパ節清掃をあわせ行なった場合は、区分三四一の一ボタロー管開存閉鎖術(新四二八○点、旧三六五○点)に準ずる扱いとなっていたが、本例のように今回の改正により逆に点数引下げとなるものについては、これらの通知を廃止し、通則7により算定するものとしたこと。
ウ 区分三八五胃全摘除術が「1」及び「2」に区分されたことに伴い、従前区分三八五に準用するとしていた通知及び区分三八五と他の処置及び手術を併施した場合の通知はすべて廃止し、別表によることとしたこと。
エ 従前の通知中処置及び手術の所定点数を明記しているものについては、それぞれ改正された当該処置及び手術の所定点数に読み替えるものとしたこと。
オ 今回の改正により処置及び手術の項目から削除された処置及び手術については、これに関する従前の通知をすべて廃止し、(3)及び別表によることとしたこと。
カ 新たな項目として新設された処置及び手術に関する従前の通知はすべて廃止したこと。
(項目の新設及び整理に伴う取扱いの改正)
(3) 乙表の手術料の部にのみ掲げられていて甲表には掲げられていなかった項目及び従前通知により定められていた項目の一部を、新たな項目として新設するとともに再評価に伴う項目の整理をあわせ行なったが、その詳細は次のとおりであること。
ア 区分二○二応急人工呼吸については、三○分までを四○点とし、「注」として三○分又はその端数を増すごとに三○点を加算する取扱いに改められたので、これに関連する準用通知を次のように改めたこと。
(ア) 胸部手術後肺水腫を併発し、応急処置として閉鎖循環式麻酔器により無水アルコールの吸入療法を行なった場合は、区分二○二応急人工呼吸(注の加算を含む)に準じ、使用した無水アルコールについては区分六六九薬剤料により別に算定できる。
(イ) 閉鎖循環式麻酔装置による人工呼吸及びマイクロアダプター(人工蘇生器)を使用して酸素吸入を施行した場合は区分二○二応急人工呼吸(注の加算を含む)に準じ、使用した酸素については区分二○三酸素吸入の「注」により算定した所定点数を加算する。また、ガス中毒患者に対し閉鎖循環式麻酔器を使用し気管内挿管下に酸素吸入を行なった場合も同様とする。
イ 区分二一○植皮術の「2」の取扱いは範囲、大きさを問わず所定点数によるものとし、またデルマトームを使用した場合も所定点数のみによるものであること。
ウ 廃止
エ 区分二四五―二肋骨切除術の所定点数は、切除肋骨の本数に関係なく二本以上切除した場合も所定点数のみにより算定するものであること。また肋骨二本切除と同時に胸骨を掻爬した場合も本区分により算定するものであること。
オ 区分二五三 四肢牽引術の「1」及び「2」の注として牽引監視料が新設され一日につき九点を算定できることとなったが、その他の牽引法(「3」及び「4」)には適用されないものであること。
なお、牽引監視料の新設に伴いモーターを使用して頚腕症、頚椎変形症、腰痛症、椎間板ヘルニア等に対し、断続牽引を行なった場合の算定は次によることとしたこと。
(ア) 腰椎バンドによる場合は、入院にあっては区分二五三 四肢牽引術の「1」の注の牽引監視料に準じ、外来にあっては、区分二六七変形機械矯正術に準ずる。
(イ) グリソン係蹄による場合は、入院にあっては初回については、区分二五三 四肢牽引法の「3」に準じ、第二回以後については、区分二五三 四肢牽引法の「1」の注の牽引監視料に準じ、外来にあっては区分二六七変形機械矯正術に準ずる。
カ 区分二六七変形機械矯正術の注の廃止により、綿又は厚紙による矯正包帯を行なった場合も所定点数のみによることとし、当該「注」を準用していた内飜足にギフネー氏絆創膏固定を行なった際の交換点数は区分二六七変形機械矯正術に準ずるものであること。
キ 区分二七八―二アキレス腱切断術は、切断後縫合を行なった場合に算定できるものであること。
ク 区分二八六鼻中隔矯正術が「1」及び「2」に区分されたことに伴い、本区分を準用していた外耳道骨腫切除術及び出血生鼻茸摘出術については、いずれも本区分の「1」に準ずるものであること。
ケ 区分三一○喉頭異物除去術の改正に伴い本区分は直達鏡の使用の有無にかかわらず、所定点数によるものであること。
コ 区分三三一膿胸穿刺の項目を削除し、区分三三○胸膜、胸液、膿胸穿刺に包括したことにより従前区分三三一を準用していたものについては、区分三三○に読み替えるものとすること。
サ 区分四二九―二胆石手術は、胆石のみを摘出した場合に算定するものとし、本区分の所定点数には胆嚢、総輸胆管いずれにも胆石があり両者の胆石を同時に摘出する場合も含まれること。
シ 区分四三二膵十二指腸切除術と区分三八六胃切除術の「1」又は「2」と同時併施の場合は、通則7、によりいずれか一方の所定点数のみにより算定するものであること。
ス 区分五○四会陰形成術の削除により、本区分及び本区分を準用していた癒合陰唇形成術は、区分五一一膣壁縫合術の「1」に準ずること。
セ 区分五一五子宮腫瘍手術の「3」にかかわらず、癌、絨毛上皮腫等悪性腫瘍に対する子宮広汎全摘除術は区分五一六子宮悪性腫瘍広汎全摘除術の所定点数により算定するものであること。
ソ 区分五二○子宮腔洗浄の削除により本区分並びに本区分を準用していた、子宮頚管内薬物挿入及び子宮傍結合織炎切開排膿後の第二回以後における洗浄は、区分「五一九」子宮出血止血処置に準ずるものとすること。
タ 区分五三一―二子宮頚管縫縮術のうち、シロッカー氏法は、筋膜採取を含めて所定点数によること。
チ 区分五四二卵巣腫瘍摘出術(両側)及び区分五四三卵管全摘除術、卵管腫瘤全摘除術(両側)の削除により、本項はいずれも区分五四五―二附属器腫瘍摘出術(両側)に準ずること。
ツ 区分五四二―二附属器腫瘤摘出術(両側)と同時に卵管結紮術を併施しても、区分五四二―二附属器腫瘍摘出術の所定点数のみによること。
テ 区分五八八、腰部交感神経節切除術を準用していた、くも膜下腔アルコールブロックは、区分七○四、神経ブロックの「2」によることとしたこと。
ト 区分六四二鼓膜穿刺は、鼓室穿刺と名称を改めたこと。
ナ 区分六五四輸血の「1」及び「2」にかかる「注」のうち、骨髄内輸血の場合の加算点数を改め、区分○七七(骨髄穿刺)の所定点数を加算することとしたこと。
ニ 区分六五四輸血及び区分六五五交換輸血にかかる「注」のうち、輸血にあたって薬剤を使用した場合の薬剤料算定については、第五部注射の薬剤料算定方法の改正にともない、第五部に掲げる薬剤料の所定点数によることとしたこと。
(特定治療材料の改正)
(4) 特定治療材料の一部について、その名称を変更するとともに、品目の追加をしたほかは、その取扱いは従前どおりであること。
7 麻酔について
(1) 神経ブロックの再評価に伴い、従前の各種神経ブロックの準用を次のとおり改めたこと。
ア 顔面神経、腹腔神経ブロックに準ずるもの
胸部交感神経ブロック、くも膜下腔のアルコールブロック(「注」の加算を含む。)
イ 上腕神経叢ブロックに準ずるもの
腰部交感神経ブロック
ウ 星状神経節ブロック、上喉頭神経ブロックに準ずるもの
蝶形口蓋神経節、閉鎖神経、舌咽神経、経仙骨神経、陰部神経の各神経ブロック
エ 前記以外の神経ブロックの準用については、その都度当局より示すものであること。
(2) 特定麻酔剤を廃止し、麻酔に使用した薬剤料の算定方法を改めたことに伴い、従前の通知中「特定麻酔剤」とあるのは「薬剤」と読み替えて薬剤料の項により算定するものであること。
8 その他
酸素等における費用の算定において、一点未満の端数があるときは、小数第一位を四捨五入して算定すること。
第二 歯科点数表に関する事項
1 入院料について
第一の1と同様であること。
2 投薬について
第一の3と同様であること。
3 理学療法について
第一の4の(1)及び(2)と同様であること。
4 処置及び手術について
(1) 知覚過敏処置にはイオン導入法の費用を含むものであり、一歯単位に算定するものであること。
(2) 区分二七○輸血については第一の6の(3)のエと同様であること。
(3) 一回の処置又は手術に特定薬剤を二種以上使用した場合であっても、使用した特定薬剤の合計価格から四○円を控除した残りの額を一○円で除して得た点数について一点未満の端数を切り上げて特定薬剤料を算定するものであること。
5 麻酔について
(1) 今回の改正に際し、医科甲点数表と共通の麻酔行為については、歯科点数表より削除したことに伴い、これらの麻酔を行なった場合は医科甲点数表の取扱いにより算定するものであること。
(2) 一回の麻酔に麻酔薬剤を二種以上使用した場合であっても使用麻酔薬剤の合計価格から四○円を控除した残りの額を一○円で除して得た点数につき一点未満の端数を切り上げて麻酔薬剤料を算定するものであること。
6 歯冠修復及び欠損補綴
(1) 歯冠修復及び欠損補綴を行なった場合の費用の算定にあたっては特に規定していない場合であっても一連の歯冠修復及び欠損補綴の所定点数をあわせて算定できるものであること。
(2) 補綴時診断料は、患者の当該初診における受診期間を通じ新たな欠損補綴及びリベースを行なう場合に、着手時点において一回限り算定できるものであること。
(3) 歯冠形成の費用は、歯冠形成に付随して行なわれる麻酔、暫間被覆冠、歯肉圧排、特定薬剤などの費用を含むものであり、同一歯牙については一回限り歯冠形成が完了した時点において算定するものであること。
ア 区分「三○一の一」は歯冠形成に付随して行なわれる処置等の一連の費用を含むものであること。
イ 区分「三○一の一のイ」の鋳造冠は、「注の3」でいう全部鋳造冠、前歯の四分の三冠、臼歯の五分の四冠を指すものであること。
ウ 全部鋳造冠、前歯の四分の三冠、臼歯の五分の四冠とは、全部鋳造冠方式又は全部鋳造冠に準ずる方式で作製される鋳造歯冠修復(例えば前歯において唇側の歯質を露出させる場合のように審美的要素等により、一部歯質を露出させる場合)をいうものであり、四面又は五面の鋳造歯冠修復のすべての場合をいうものではないこと。
エ 区分「三○一の二のイ」の支台築造を行なったものとは、その他の合金又は銀錫アマルガムにより築造を行なった場合をいい、その際行なった窩洞形成、印象採得、装着等の費用は所定点数に含まれるものであること。
オ 改正前の燐酸セメントによる支台築造は、支台築造を行なわないものの所定点数によるものであること。
カ 部分鋳造冠(前歯の四分の三冠又は臼歯の五分の四冠)の作製に当っての歯冠形成の費用として区分「三○一の二のイ」の算定は認められない。
キ 区分「三○一の四」の窩洞形成は一歯単位に算定するものであること。したがって、同一歯牙に二窩洞の形成を行なった場合であっても算定は一回のみであること。
(4) 燐酸セメントは永久充填材としては不充分な材料であるので、充填材としての取扱いは廃止したこと。
(5) 歯冠修復又は欠損補綴の調整の費用は充填物の研磨又は調整、歯冠修復物若しくは有床義歯の削合又は調整等を行なった場合に歯冠修復物又は有床義歯単位ごとに算定するものであること。
ア 充填を行なった場合の研磨に要する費用は一歯一回を限度として算定するものであること。なお、研磨は日を異にして行なうべきであるので充填当日の研磨は認められないものであること。
イ 自己の作製した歯冠修復物又は有床義歯に関する調整の費用は、充填の場合の研磨を除き、当該歯冠修復又は有床義歯を行なった日から一○日以内においては算定できないものとし、一○日間を経過した日以後において原則として一回算定することができるものであること。
ウ 歯槽形成手術後の義歯床等の調整を行なった場合は区分「三三四の三」により、一週間に一回を限度として算定すること。
エ ダミーの調整の費用は「三三四の二」を準用して算定すること。
(6) その他
ア 今回の点数改正(昭和四七年二月一日)前に歯冠形成を行ない点数改正後に装着した歯冠修復の場合の歯冠形成については、旧点数表により生活歯歯冠形成又は支台築造の費用を請求できる場合を除き、新点数表の歯冠形成の費用を請求して差し支えないこと。なお、旧点数表により生活歯歯冠形成又は支台築造の費用を請求できる場合の全部鋳造冠、前歯の四分の三冠及び臼歯の五分の四冠の五○点の加算の対象となる鋳造歯冠修復については新点数表と歯冠形成の加算点数のみを請求して差し支えないこと、この場合の請求に際しては摘要欄にその旨を記載すること。
イ 今回の点数改正(昭和四七年二月一日)前に支台築造の印象採得料のみを請求し、点数改正後に支台築造を完了した場合は、新点数より一○点を差し引いて算定すること。ただし、この場合の請求に際しては摘要欄にその旨を記載すること。
ウ 今回の改正に際し、点数の算定は、特に規定がない場合は小数点以下一桁目を四捨五入して端数整理を行なうこととした。
第三 乙表点数表に関する事項
1 廃止
2 投薬料について
(1) 調剤料の算定については外来患者の場合と入院患者の場合とでその取扱いが区別されたが、具体例は次のとおりである。
ア 内服薬2剤3日分を処方した場合
(ア) 外来患者
処方料+調剤料+薬剤料
8 点+4 点+(第1剤1日分薬価)×3+(第2剤1日分薬価)×3
(イ) 入院患者
処方料+(第1剤1日分調薬料)×3+(第2剤1日分調薬料)×3
8 点+〔調剤料(1点)+1日分薬価〕×3+〔調剤料(1点)+1日分薬価〕×3
イ 内服薬1剤3日分と屯服薬2包を処方した場合
(ア) 外来患者
処方料+調剤料+薬剤料
(内服薬) 8 点+4 点+(1日分薬価)×3
(屯服薬) 4 点+1 点+(1回分薬価)×2
(イ) 入院患者
処方料+(1日分調薬料)×3
(内服薬) 8 点+〔調剤料(1点)+1日分薬価〕×3
処方料+(1日分調薬料)×2
(屯服薬) 4 点+〔調剤料(1点)+1回分薬価〕×2
ウ 屯服薬2包と外用薬2種類(点眼薬5ccと眼軟膏7g)を処方した場合
(ア) 外来患者
処方料+調剤料+薬剤料
(屯服薬) 4 点+1 点+(1回分薬価)×2
(外用薬) 4 点+2 点+〔(点眼薬5ccの薬価)+(眼軟膏7gの薬価)〕
(イ) 入院患者
処方料+1回分調薬料
(屯服薬) 4 点+〔調剤料(1点)+1回分薬価〕×2
処方料+点眼薬5ccの調薬料+眼軟膏
(外用薬) 4 点+〔調剤料(2点)+薬価〕+〔調剤料7gの調薬料(2点)+薬価〕
(2) パス剤にかかる薬価の特別な計算の取扱いを廃止したこと。
(3) 鼻腔を通じ薬剤を注入したときの加算(一回につき)については女子膀胱洗浄に準じ七点としたこと。
3 検査料
(1) 今回の改正により診察料に含める取扱いとした次の項目は別に算定できないこと。
ア 尿中物質一般検査における尿一般検査のうち糖定性及び蛋白定性
イ 血圧測定
ウ 簡易聴力検査
エ 簡易鼻咽喉検査のうち後鼻鏡検査、喉頭粘液の採取
オ 簡易眼科検査のうち斜照法、徹照法、細隙灯検査(ルーペ式)、器械を使用しない眼圧測定検査
カ 従前から別に算定できなかった簡易な斜視検査、色盲検査、複像検査等の取扱いについてはなお従前の例によるものであるが、前記アからオに準用していた簡単な検査についても同様の取扱いとなるものであること。
(2) 標準純音聴力検査については、第一の2の(1)と同様であること。
(3) 標準純音聴力検査に該当しないオージオメトリーについては一種目につき前庭機能検査の「イ」に準ずること。
(4) 胃ファイバースコピー及び直腸ファイバースコピーの取扱いは第一の2と同様であること。
4 注射料について
(1) 脳脊髄腔注射及び関節腔注射の所定点数は、検査、処置のための穿刺及び薬剤注入と同時に実施した場合であっても手技料はあわせて一回の所定点数のみによるものであること。
(2) 胸腹腔内薬液注入、ダグラス窩薬液注入及び骨髄内注射の際の薬剤料については、その購入価格に一・一を乗じた額を一○円で除して得た点数を算定する取扱いとなっていたが、いづれも第五部注射料の薬剤料の算定方法により算定するものとしたこと。
5 処置料について
(1) 処置料の改正に伴い、従前の特殊計算方法を廃止したこと。
(2) 点数表に掲げられていない処置であって、簡単な処置の処置料は別に算定できないが、特殊な処置の処置料は、処置料の項に掲げられている処置のうちで最も近似する処置を準用すること。
なお、特殊な処置であって準用点数の定められていないものについては、その都度当局に内議のうえ準用点数を決定するものであること。
(3) 創傷及び皮膚科処置
ア 喀痰の凝塊又は肺切除術後喀痰が気道に停滞し喀出困難のとき、ネラトンカテーテルと吸引器を使用して吸引した場合の点数は、創傷及び皮膚科処置の「3」に準ずることとしたこと。
イ 手術時に行なった創傷処置については別に算定できないこと。
(4) 泌尿器科処置
ア 導尿のうち単純なものについては、イ、女子導尿と ロ、男子導尿に区分したこと。また、膀胱洗浄についても イ、女子膀胱洗浄と ロ、男子膀胱洗浄に区分されたため、従来、膀胱洗浄に準ずる取扱いとされていたものについては、特に通知として示したもの以外は、イ、女子膀胱
洗浄に準ずる取扱いに改めたこと。
(例)
(ア) 留置カテーテル装用中の膀胱洗浄。
(イ) 消化管手術後の第二回以降にかかる胃液吸引。
イ 新たに尿管カテーテル挿入を行なった場合の腎盂洗浄は、腎盂内注入(尿管カテーテル法を含む。)に準ずるが、新たに尿管カテーテルの挿入を行なわない場合は、男子膀胱洗浄の所定点数によること。
ウ 人工腎臓に替えて間歇的腹膜潅流を行なった場合は、一日につき腎盂内注入に準じ、使用薬剤については、第六部処置料の薬剤料の項により算定すること。
(5) 産婦人科処置
子宮腔洗浄の項を廃止したことに伴い本項は膣洗浄に準ずることとしたこと。
(6) 眼科処置
ア 眼処置の所定点数は、洗眼、点眼、片眼帯、巻軸帯を必要とする処置及び麻薬加算を含むものであり、これらを包括して一回につき七点を算定すること。
イ 蒸気罨法、熱気罨法及び本項を準用していたイオントフォレーゼは、あわせて行なってもこれらを包括して一回につき所定点数のみを算定すること。
ウ 手術時に行なった処置は別に算定できないこと。
エ 眼科処置については、一眼、二眼の区別なしに所定点数による取扱い及び両眼異なる疾患を有し、それぞれ異なった処置を行なった場合の各々別個に算定できる取扱いは、従前どおりであること。
(7) 耳鼻咽喉科処置
ア 耳処置の所定点数は、点耳、耳浴、耳洗浄、簡単な耳垢栓除去及び片耳帯を含むものであり、これらを包括して一回につき片側ごとに五点を算定するものであること。
イ 耳管処置の所定点数は、耳管通気法、鼓膜マッサージ及び通気に必要とする鼻内処置を含むものであり、これらを包括して一回につき片側ごとに六点を算定するものであること。
ウ 耳管ブジー法の所定点数は、通気法又は鼓膜マッサージの併施を含むものであり、耳管処置の点数は別に算定できないこと。
エ 鼻処置の所定点数は、鼻吸引、鼻洗浄、単純鼻出血及び鼻前庭の処置を含むものであり、これらを包括して一側・両側の区別なく一回につき七点を算定するものであるこ
と。また、注の規定により、口腔、咽頭処置とあわせて行なった場合であっても、口腔・咽頭処置の七点は別に算定できないこと。
オ 口腔・咽頭処置の所定点数は、それぞれ単独に実施した場合も、同時に実施した場合も一回につき七点を算定するものであること。また、注の規定により鼻処置とあわせて行なった場合であっても、鼻処置の七点は別に算定できないこと。
カ 副鼻腔洗浄は、一側毎に算定できる取扱いは従前どおりであるが、副鼻腔洗浄にともなう単なる鼻処置は副鼻腔洗浄の所定点数に含まれるので別に算定はできないこと。
キ 副鼻腔洗浄後の薬剤注入及び副鼻腔内薬剤注入は、皮下・筋肉内注射に準じて算定すること。
ク 喉頭処置の所定点数は、喉頭注入及び喉頭処置にともなう同一薬剤を用いる口腔・咽頭処置を含むものであり、これらを包括して一回につき所定点数を算定するものであること。
ケ 今回新設されたネブライザーの所定点数は、副鼻腔内陰加圧ネブライザー、喉頭及び喉頭下ネブライザーを実施した場合に算定できるものであって、鼻・咽頭腔に対する薬剤塗布の目的をもって行なった加圧スプレー使用は、鼻処置又は口腔・咽頭処置の所定点数によること。
コ 咽頭・喉頭結核処置並びにこれを準用していた処置は、これら項目の廃止により、それぞれその部位により、口腔・咽頭処置、鼻処置、喉頭処置の所定点数により算定すること。
サ 手術時に行なった処置は別に算定できないこと。
(8) 整形外科的処置
ア 変形機械矯正術の注の廃止により、綿又は厚紙による矯正包帯を行なった場合も所定点数のみによること。
イ 内飜足にギフネー氏絆創膏固定を行なった場合の交換点数は、変形機械矯正術に準ずること。
(9) 一般処置
ア 鼻腔栄養の所定点数は、注入回数の如何を問わず一日につき四○点を算定することとしたこと。
イ 患者が経口摂取不能のため(1)薬価基準に収載されている高カロリー薬を経鼻経管的に投与した場合は鼻腔栄養の手技料及び薬剤料を算定し、給食料及び投薬料は別に算定しない。(2)薬価基準に収載されていない流動食を給与した場合は鼻腔栄養の手技料及び給食料を算定する。(2)の場合において、当該保険医療機関が基準給食の承認を受けているときは基準給食の加算を、さらに、特別食の算定要件を満たしているときは特別食の加算を認める。薬価基準に収載されている高カロリー薬及び薬価基準に収載されていない流動食を併せて投与及び給与した場合は、(1)又は(2)のいずれかのみにより算定する。
ウ 食道癌を手術した後、胃瘻より流動食を点滴注入した場合は、鼻腔栄養に準じて取扱うものとすること。
エ 応急人工呼吸については、従来の算定方法を改め、三○分までを四○点とし、以後三○分又はその端数を増すごとに三○点を加算する取扱いとしたこと。従って、本項の準用していた通知については次のとおり改めたこと。
(ア) 閉鎖循環式麻酔装置による人工呼吸及びマイクロアダプター(人工蘇生器)を使用して、酸素吸入を施行した場合は、応急人工呼吸の所定点数(注も含む)により算定し、これに要した酸素については酸素吸入の注により算定した点数を加算する。またガス中毒患者に対し、閉鎖循環式麻酔器を使用し、気管内挿管下に酸素吸入を行なった場合も同様とする。
(イ) 気管内カテーテル挿入麻酔器の酸素加圧により、肺切除術後の膨張不全に対し肺膨張をはかった場合の点数は、閉鎖循環式麻酔装置による人工呼吸と同様とすること。なお、前記肺膨張と同時に吸引器により気管内喀痰除去を行なう場合もその報酬は前記点数中に含まれるものとすること。
(ウ) 胸部手術後肺水腫を併発し、応急処置としての閉鎖循環式麻酔器による無水アルコールの吸入療法を行なった場合は、応急人工呼吸の所定点数(注を含む)により算定し、これに要した無水アルコールの価格については、第六部処置料の薬剤料の項により算定すること。
オ 胃・十二指腸ゾンデ法により、薬剤を投与する場合は、初回は胃・十二指腸ゾンデ法の「2」の所定点数により、第二回目以降は女子膀胱洗浄の所定点数によること。この際使用した薬剤については、その都度第六部処置料の薬剤料の項により算定すること。
6 理学療法料について
(1) 体外照射及び密封小線源治療の具体的取扱いは第一の4の(1)及び(2)と同様であること。
(2)〜(4) 廃止
7 精神病特殊療法料
(1) 精神療法、精神分析療法(標準型及び簡便型)、精神科カウンセリングはそれぞれ新設された所定点数により算定することとし、これに関する準用通知はすべて廃止したこと。従って、前記療法を行なった際の再診については、その他の精神病特殊療法と同様内科再診料算定の条件から除外されるものであること。
(2) マラリア発熱療法の点数は、一クールに関する点数であること。
(3) 薬剤注射による発熱療法は、一回ごとに当該所定点数と薬剤料を算定できること。ただし、発熱しにくくなった場合、重畳注射を行なってもその発熱療法料はあわせて一回として算定するが、薬剤料はその回数に応じて別に算定できること。
(4) インシュリン衝撃療法は、注射より覚醒に至るまでの時間を一回とすること。
(5) インシュリン衝撃療法において、準備期におけるインシュリン注射の点数は、第八部薬剤料の項に掲げる所定点数のみにより算定すること。ただし、インシュリン注射により、サブショック状態に達した場合はショック療法が開始されたものとみなされるから、衝撃療法の所定点数を算定して差し支えないこと。
(6) インシュリン衝撃療法の際の覚醒のために用いる砂糖は、第八部薬剤料の項により算定するものとし、砂糖水を鼻腔注入した際には膀胱洗浄の「イ」の所定点数を加算できること。
(7) 電撃療法及び薬剤注射による痙攣療法のいずれも痙攣療法の所定点数によること。
(8) 廃止
(9) 持続睡眠療法の点数算定は、持続睡眠療法に必要な薬剤を患者に服用させた日から算定するものとし、本療法に際して使用した薬剤の算定は、一日における服用回数に応じて、内服薬又は屯服薬として取扱うものとすること。
(10) 精神療法とは、神経症や精神障害者を治療する手段として、精神的な面から効果のある心理的影響を与えるものを総称するものであること。
なお、本項は精神療法のうち、精神分析療法以外のものを行なった場合の点数であり、精神分析療法は、「標準型精神分析療法」、「簡便型精神分析療法」の所定点数によること。
(11) 精神療法の適応症は、精神神経症、精神分裂病、躁うつ病等の精神障害であり、精神薄弱は除かれること。なお、精神療法として算定できる回数は、第一の5の(3)と同様であること。
(12) 森田療法は、入院治療を標準とするが、自宅において治療を行なった場合、外来患者に対し説得指導を行なった場合も一回として請求できるものであること。
(13) 標準型精神分析療法は概ね週一回を、簡便型精神分析療法は概ね週二回を標準として行なうものとすること。
(14) 精神科カウンセリングの基本的実施方法としては、概ね五〜七日に一回、大体三○〜五○回行なうものであり、医師が精神神経症患者等に対し、治療として行なうものは一回につき本項所定点数を算定すること。
(15) 作業療法に関する報酬は別に算定できないこと。
(16) 精神病特殊薬物療法については、従来どおり、第二部、投薬として算定するものであること。
(17) 前記以外の取扱いについては、従前の甲表の取扱いに関する通知がそのまま適用されるものであること。
8 手術料について
(一般事項)
(1) 甲・乙一本化に伴い、今回及び従前の甲表に関する通知がそのまま適用されるものであること。したがって、従前の乙表手術料に関する通知はすべて廃止したこと。
(手術料算定の原則)
(2) 通則1、及び2、により、手術料算定の内容には次の四通りあることを示している。
ア 手術料(+薬剤料等)
イ 手術料+輸血料(+薬剤料等)
ウ 手術料+ギプス料(+薬剤料等)
エ 手術料+輸血料+ギプス料(+薬剤料等)
(特殊計算方法の廃止)
(3) 手術にあたって通常使用される治療材料(包帯材料、縫合糸等)及び一回の手術に使用される薬剤の総量価格が二五円以下の費用は、手術所定点数中に含まれるものであること。
ただし、特定の治療材料及び一回の手術に使用される薬剤の総量価格が二五円を超えた場合は、当該手術の所定点数にその費用を別に算定することができることとなり、従来の特殊計算方法は廃止されたこと。
(特殊な手術の手術料算定について)
(4) 手術料の項に掲げられていない特殊な手術の手術料は、最も近似する手術料の所定点数を準用することとするが、これの取扱いについては、別表及び従前の甲表におけるこれに関する通知によることとし、これ以外のものについては、通則3に準じその都度、当局に内議のうえ、準用点数を決定するものであること。
(時間外及び深夜加算の取扱い)
(5) 時間外及び深夜加算の対象となる一五○点以上の手術に関する、緊急の意味内容及び手術開始時間等の取扱いについて変更はないが、時間外及び深夜加算のできるのは、手術料の項に掲げる手術の所定点数のみであり、輸血料、ギプス料、薬剤料及び特定治療材料の所定点数については加算の取扱いは適用されないこと。
(対称器官にかかる手術料の算定)
(6) 通則5の「特に規定する場合」とは、術名の末尾に両側と記入したものを指すものであること。
この場合、両側にわたり実施する必要がなく片側の施術のみで足りるため、片側のみ施術した場合であっても、当該所定点数を算定することができること。
(主たる手術の定義)
(7) 通則6に規定する「主たる手術」とは、所定点数の高い手術をいうこと。この場合において、手術に附随して行なったギプス料、輸血料及び薬剤料若しくは特定治療材料は、別に算定できることは当然であること。
(主たる手術の定義)
(8) 通則6に規定する「同一手術野又は同一病巣についての手術」とは、同一皮切により行ない得る範囲のものと解するのを原則とし、次の如きものであること。
ア 子宮外妊娠手術と虫垂切除術
イ 肺切除術の際に併施する簡単な肺剥皮術
ウ 虫垂切除術と盲腸縫縮術
エ 附属器腫瘍摘出術と卵管結紮術
ただし、この原則によることが著しく不合理である場合は、通則3に照してその都度当局に内議のうえ決定するものであること。
なお、胃切除術と直腸切断術の如く遠隔部位の二手術を行なう場合、及び人工妊娠中絶術と卵管結紮術の如きは同一手術野又は同一病巣とは認められないので、それぞれの手術の所定点数を別個に算定できるが、多発性●腫等で近接しているものについては、数か所の切開も一切開として算定するものとし、麦粒腫、霰粒腫等もこれに準じ、同一瞼内にあるものについては一回として算定するものであること。
(骨移植術の取扱い)
(9) 通則6のただし書により骨移植術を行なった場合は第一の6の(1)と同様であること。
(植皮術の取扱い)
(10) 植皮術を行なった場合についても、他の手術と植皮術の所定点数はあわせて算定することができるものであること。
ただし、眼瞼外反症手術、結膜嚢形成術、翼状贅片手術、鼓室形成術については、粘膜又は皮膚の植皮術が所定点数中に含まれているので、別に植皮術の所定点数を合算することはできないこと。
(11) 植皮術の実施に先立って、皮膚弁を作成した場合は、皮膚弁作成術(有茎弁、箇状弁)の所定点数を一皮膚弁作成につき一回、別に算定することができること。
(手術を途中で中止した場合の取扱い)
(12) 手術を開始した後、患者の病状の急変等をやむを得ない事情により手術を中途で中絶せざるを得なかった場合においては、当該中絶までに施行した実態に最も近似する手術項目の所定点数により算定するものであること。例えば、胃切除術を行なうべく開腹したが、適応でないのでそのまま手術創を閉じた場合は、診断的開腹術の所定点数により、また、全副鼻腔根本手術を開始したが、上顎洞、篩骨洞を終えたのみで中絶した場合は、上顎洞篩骨洞根本手術の所定点数により、算定するものであること。
(リンパ節清掃術の取扱い)
(13) 悪性腫瘍摘出術には遠隔部の転移リンパ節の清掃を行なう場合が多いが、その費用は特に通知で示したもの以外は悪性腫瘍摘出術の所定点数中に含まれているので別に算定することはできないこと。
9 麻酔料について
第一の7と同様であること。
10 入院料について
(1) 入院料が改正されたことに伴い、入院患者の外泊期間中の点数算定は、第一の1の(1)と同様であること。
(2) 入院時医学管理料は第一の1の(3)と同様であること。
(3) 改正後の看護、給食及び寝具設備の基準による特類看護の取扱いは第一の1の(4)及び(5)と同様であること。
(4) インキュベーターの算定は、未熟児又は手術等のため、乳児に対しインキュベーターを使用した場合に算定すること。
(5) インキュベーターを使用した場合の酸素の費用は、一日使用量に応ずる価格を一○円で除して得た点数を加算できるものであること。また、特に必要があって炭酸ガスの一定量を混入した場合の費用も同様であること。
11 その他
酸素等における費用の算定についての端数整理は第一の8と同様であること。
第四 調剤報酬算定表に関する事項
(1) 今回新設された調剤基本料は、患者等が提出する処方せんの枚数には関係なく処方せんの受付一回につき算定するものであること。なお、同一保険薬局において分割調剤する場合を除き、異なった保険薬局で分割調剤を行なった場合には、各保険薬局において、それぞれ調剤基本料を算定できること。
(2) 深夜調剤加算は、調剤基本料を含めた調剤技術料の一○○分の一○○を加算するものであること。
(3) 自家製剤加算については、剤型の拡大が行なわれたが、従前と同様、薬価基準に収載されている薬剤と同一規格を有する薬剤を自家製剤した場合は、自家製剤加算の対象とならないこと。
別表
1 尾骨骨折観血摘除術は、区分二二四、骨片切採術に準ずる。
2 前頚骨筋筋膜断裂による、筋ヘルニアに対し、大腿広筋膜片の採取・移植を行なった場合は、区分二一○、植皮術の「 2. その他のもの」に準ずる。
3 脊椎完全脱臼兼脊髄損傷観血手術及び骨盤骨折観血整復術は、区分二三九―三、脊椎・骨盤観血手術に準ずる。
4 頚肋切除術は区分三四五―二、肋骨切除術に準ずる。
5 慢性前頭洞炎の手術に、自家腸骨を細片として充填した場合の算定は、区分二九五、前頭洞根本手術の所定点数に区分二二四、骨片切採術の所定点数を加算して算定する。
6 反回神経麻痺に対し、声帯固定のため甲状軟骨を左右に分離し、喉頭側軟骨膜下に甲状軟骨より取り出した小軟骨片を挿入する。喉頭粘膜下軟骨片挿入術は、区分三○六、喉頭切開術の所定点数に、区分二二四、骨片切採術の所定点数を加算する。
7 声帯ポリープ(声帯上部又は下部)手術は、区分三○八―二、喉頭ポリープ手術に準ずる。
8 頚胸部食道癌で食道を切除し、その口側断端を頚部皮下で食道瘻とし、一定期間後二次的に胃又は腸管をもって、前胸部皮下を通して前記食道瘻との間に食道再建をした場合は、区分三八五、胃全摘除術の「 2. その他のもの」に準ずる。
9〜13 廃止
14 区分「三八五」胃全摘除術の「 1. リンパ節清掃」をあわせて行うものと区分「四二五」肝切除術を併施した場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定するものであることとし、区分「三八五」胃全摘除術の「 2. その他のもの」と区分「四二五」肝切除術の「 1. 部分切除」又は「 2. 左葉切除」を併施した場合は、区分「三八六」胃切除術の「 1. リンパ節清掃」を併せて行うものに準じ、区分「三八五」胃全摘除術の「 2. その他のもの」と区分「四二五」肝切除術の「 3. 右葉切除」又は「 4. 拡大右葉切除」を併施した場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定するものであること。
15 削除
16 区分三八六、胃切除術の「 1. リンパ節清掃をあわせて行なうもの」と胆道切開による胆石摘出術を併施した場合は、区分三八五、胃全摘除術の「 1. リンパ節清掃をあわせて行なうもの」に準ずる。
17 廃止
18 噴門部胃癌の際、胃を亜全摘し、噴門部断端を小腸側璧と吻合、幽門部断端は閉鎖して、幽門部に胃瘻を造設した場合は、区分三八五、胃全摘除術の「 1. リンパ節清掃をあわせて行なうもの」に準ずる。
19 区分「三八六」胃切除術の「 1. リンパ節清掃」を併せて行うものと区分「四二五」肝切除術を併施した場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定するものであることとし、区分「三八六」胃切除術の「 2. その他のもの」と区分「四二五」肝切除術の「 1. 部分切除」又は「 2. 左葉切除」を併施した場合は、区分「三八五」胃全摘除術「 2. その他のもの」に準じ、区分「三八六」胃切除術の「 2. その他のもの」と区分「四二五」肝切除術の「 3.右葉切除」及び「 4. 拡大右葉切除」を併施した場合は、主たる手術の所定点数のみにより算定するものであること。
20・21 削除
22 区分三八六、胃切除術の「 1. リンパ節清掃をあわせて行なうもの」と区分三五一、脾摘除術との同時併施の場合は、区分三八六の「 1.」の所定点数のみによる。
23 区分三八六、胃切除術の「 2. その他のもの」と区分三五一、脾摘除術との同時併施の場合は、区分三八五、胃全摘除術の「 2. その他のもの」に準ずる。
24 先天性巨大結腸症兼膀胱腸瘻に対し、区分三九三、大腸切除術の「 2. その他のもの」と、区分四三四、尿瘻閉鎖術の「 3. 膀胱と腸」を同時に併施した場合は、区分三八五、胃全摘除術の「 2. その他のもの」に準ずる。
25 廃止
26 先天性胆管拡張症に対し、(1)胃切除 (2)総胆管切除 (3)胆嚢剔出 (4)胃腸吻合兼ブラウン吻合 (5)胆管空腸吻合 (6)十二指腸膵頭吻合 (7)空腸吻合術を併施した場合は、区分三八五、胃全摘除術の「 1. リンパ節清掃をあわせて行なうもの」に準ずる。
27 右鼠径ヘルニア手術に際し、区分四○一、鼠径、股、陰唇ヘルニア根本手術と虫垂炎手術を同時に併施した場合はヘルニア手術が、区分四○一の「 1. 腸管切除を伴うもの」であるときは、本区分の所定点数のみにより、「 2. その他のもの」であるときは、区分三九四、腸吻合術に準ずる。
28 腹腔内血管損傷に対し、開腹による血管縫合は、区分四○二―二、腸間膜損傷手術に準ずる。
29 廃止
30 痕跡副角子宮手術及び子宮部分切除術は、区分五一五、子宮腫瘍手術の「 1. 核出術」に準ずる。
31 廃止
32 子宮卵管留血腫手術のうち、(1)卵管のみ摘除した場合は、区分五四五―二、附属器腫瘍摘出術の「 1. 良性のもの」に準じ、癒着が強度の場合は、区分五三五―三、癒着性子宮附属器摘除術に準ずる。(2)子宮膣上部切断及び卵管を摘除した場合は、区分五一五、子宮腫瘍手術の「 2. 膣上部切断」の所定点数により算定する。
33 陳旧性左鎖骨骨折(偽関節形成)に左上膊神経麻痺があって、両手術を併施した場合は、区分五六九、神経形成術の所定点数に、区分二二四、骨片切採術の所定点数を加算する。