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ダウンについて

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●羽の種類

ダウン(Down)
水鳥の胸部にある綿毛で、小さな元羽軸とその先端から延びる2本以上の羽枝からできています。この羽枝の数が多く、また、産毛が残ったボール状のもの(タンポポの綿毛のような形)を特にダウンボールと呼んでいます。

軽く、柔らかく、また、この形状から多くの空気を含むことができるので、保温性、透湿性に優れています。

ダウンボールが大きいものほど良質とされていますが、良いものになると一羽からたった30gしか採ることができません。
フェザー(Feather)
水鳥の腹部などに生えている幹羽軸がある毛のことで、いわゆる羽根のことです。

長さが6.5cm以下の柔らかいものを特にスモールフェザーと呼んでおり、弾力性を増す目的で、ダウンと混合して使用されます。

●ダウンの種類

鳥には陸鳥と水鳥がいますが、ダウンは一般的に、ガチョウ(Goose)アヒル(Duck)などの水鳥から採られます。
(陸鳥の幹羽軸には、鳥の筋肉組織が入り込んでいるため、洗浄等の処理が完全でないとそこから腐食することがあるとのことです。)

また、極寒の地に生息するアイダ−と呼ばれる野生の鴨から採れるダウンは希少とされています。
■グース&ダック
フォアグラを目的として育成されるグースに比べ、食肉を目的とするダックは、ダウンが十分に育つ前に食用となるため、一般的にはグース・ダウンの方が良質と言われています。優れている点としては、以下のようなことが挙げられます。
但し、一部の例外を除きグース・ダウンの方が高価です。
■マザーグース&マザーダック
グースやダックには、食用に飼育されているものと、マザーグース、マザーダックと呼ばれる卵を採る目的で飼育されているものがあります。

通常食用のものからは、生後2〜3ヶ月でダウンが採取されますが、マザーグースやマザーダックの飼育期間は6ヶ月〜5年と長期間であるため、成熟した良質のダウンを採ることができます。

こちらのダウンは普通のものと比べ、大きくコシがあるので保温性やかさ高性に富み、また耐久性にも優れています。
■アイダ−
アイスランドを中心に北極圏周辺に生息する野生の鴨で、厳しい寒さから卵を守るため、自分の体から取った保温性の高い羽毛で巣を作ります。

保護鳥であるアイダーからは直接羽毛を採ることができないため、ダウンの採取はこの巣の方から行われます。
採取が困難であるため希少で、これが「KING OF DOWN」と称され、最高級と評価される所以です。

●ダウンの産地

地図内の点は国の中心付近に適当に配置しているものであり、その国の首都を示すもでのはありません。
経度の高い寒冷地や寒暖の差が激しい地域で採れたダウンほど良質とされています。

主な産地はポーランド、ハンガリー、チェコ、ドイツ、フランス、イギリス、アイルランドなどのヨーロッパ、北米カナダ、アジアでは中国、台湾、韓国などで採取されています。(中国が世界最大の生産国)

ヨーロッパや北米のダウンは、アジアのものに比べて大きく、また、特にヨーロッパでは、羽毛採取やフォアグラ目的に飼育されるグースが多く、アジアの食肉目的のものと比べ、成熟したダウンが採取されるので、高級とされています。

生産者にもよるため一概には言えませんが、「ヨーロッパ産」、「アジア産」の順で高品質と言われています。
■ポーランド産(ポーリッシュ)
寒暖の差の激しい大陸性気候の中、広大な農場で伝統的な飼育法で育てられるため、ダウンボールが大きく、またその白さ(PURE WHITE)が特徴です。

特にポーランドの南方に位置するキエルツェは、厳寒期には零下6度を下回ることがあり、この厳しい自然環境は、良質なダウンの生産において最適とされています。
■ハンガリー産(ハンガリアン)
夏と冬の期間が長く、寒暖の差が激しい大陸性気候なので、良質なダウンが採取されます。
ハンガリー産のダウンは良く生育したグースから採取されるので、ダウンボールが特に大きく、また、耐久性に富みます。
■カナダ産
カナダ産の中でも北極圏付近で採取されるダウンは、厳しい自然環境の中、野生に近い形で飼育されるので、良質とされています。
また、アルバータ地方のダウンは東欧諸国と比べても遜色のない品質と言われています。
■ノースヨーロピアン産(ドイツ、フランス、イギリス、アイルランドなど)
ヨーロッパの厳しい検査をクリアしたものだけが輸出されるので、品質が安定しています。
■アジア産(中国など)
中国の東北に位置する吉林(チーリン)省の長白(チャンパイ)山麓(標高1000m)で、野生に近い形で飼育されるフォレスト・グースは、高品質で知られています。

●フィルパワー

フィルパワー(フィリングパワーとも呼ばれる)とは、ダウンの反撥力(復元力)を数値で表したものです。
1オンスのダウンを圧縮し、それが何立方インチ復元するかを一定の温度、湿度の条件下で測定したもので、数値の高いものほど良質なダウンと言うことになります。

また、数値が高いほど空気包含力があり、大量に含まれる空気の断熱効果により、保温性にも優れています。

一般的に550フィルパワーで高品質とされ、700〜800フィルパワーのものが最も良質とされています。

ダウンジャケットなどでは、この表記があるものもあり、550フィルパワーあれば、シリアスな環境を除く通常使用において十分な保温性を発揮します。

●ピッキング

羽毛の採取には、3種類の方法があり、採られたダウンは「ライブハンドピック」、「ハンドピック」、「マシンピック」の順で良質とされています。
■マシンピック
食用にされる鳥の羽毛は、多くは機械により採取されます。
■ハンドピック
人の手により採取されるダウンは、ダウンボールを壊すことなく採られるため、その品質は安定しています。
■ライブハンドピック
ダウン用に一定期間飼育された鳥からは、人の手により、生きたままの状態で羽毛が採取されます。