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年に一度、父親に電車でスキーに連れていってもらうことが、小学生の自分にとって非常に楽しみであった。
で、スキー旅行の締めによく買ってもらったのが、高崎駅の「鳥めし」。ごはんの上に鳥そぼろと照焼きを載せただけのこの駅弁の、素朴だけど飽きない味は、20年経った今でも忘れられない。いまでも「駅弁」と聞けば、、真っ先に思い浮かべるのが「鶏飯」である。
ここでは、そんな日本中の誰からも愛される、「鶏飯」とその仲間(?)を幾つか食べてみた感想を紹介してみたい。
注:ここに載せた各種鶏飯駅弁の「優劣」は、あくまでも筆者の主観であり、人により異なる感想を持つかもしれません。そのあたりに関する指摘・批判はご遠慮ください。
というより、筆者の絶対味覚(あるのかそんな単語)がアレな上、喰ってるときは吸い込むように「ガツガツ食べてしまう」ので、とても万人に納得出来る「優劣」なんて書けないというのがコトの真相。
以下の「おしながき」では地域別に、本文では収集・賞味順に整理しております。それでは、ごゆっくり御賞味ください。※大館・折尾といった有名処の鶏飯駅弁が載っていないのは、作者の努力不足によりまだ手に入れていないためです。入手し次第マッハで賞味・記録いたしますので、それまでお待ちください。
2005年7月30日 宇都宮駅ホーム立ち売り(!)で購入(700円)
栄えある第1食目は、長く「駅弁発祥の地」と言われてきた宇都宮駅(注1)の鶏飯駅弁。
今ではすっかり珍しくなってしまった「立ち売り」がいる。立ち売りのおじさんも弁当も変わってないのに、東京方面に向かう列車だけは近代的なステンレス製の通勤電車に代わってしまい、場違いな感じを受ける。しかし、この列車には宇都宮線の車両代替で導入された清潔で特急列車のような「グリーン車」が新たに連結された事を思い出し、結局立ち売りのおじさんから駅弁を買い、車内で昼食を済ませる事にした。
ゆったりしたグリーン車の座席に座り、「とりめし」の封を切る。この弁当、シンプルな見た目以上の「重さ」を手に感じて違和感を覚える。
見た目は鳥そぼろ、モモ焼き、錦玉子(をを親子だ!)、葉唐辛子がコシヒカリを炊いた茶飯のうえに乗っている。それとつけ合わせが若干。第一印象は「素朴でシンプル」であった。ともかく、「いただきます」。
箸でそぼろと茶飯を掬い上げる。箸を通してもなかなか底に辿り着かない。茶飯が結構下の方まで詰まっており、ボリュームを感じる。人によっては「食べきれない」という人もいるかもしれない。「米どころ北関東」を実感した。
この弁当で印象に残ったのが「葉唐辛子」と「わさび漬け」である。夏食べるのにはどちらもサッパリと食べられるし、かといって薄味過ぎるわけでもなく大量に詰まっている茶飯のお供としても楽しめる。
列車が発車して20分もしないで食べ終わった。はぁ満腹。ごちそうさまでした。。
2005年8月6日 水戸駅駅弁売店で購入(735円)
地元水戸駅でも鶏飯駅弁を売っており、早速購入して食べてみた。
こちらは鳥そぼろではなく、焼いた鳥肉が5切れがメイン。あと海苔と錦糸卵が長細い容器に敷き詰められている。卵の上に梅干しが載っているのが梅で有名な水戸らしい。
この鳥肉の焼き加減が絶妙。肉は冷めているのに、カジると「炭火焼き」のような香ばしさが感じられる。弁当でこんなにおいしい焼き鳥は食べたことがない。
都合があって家で食べたのだが、旅先で食べるのと変わらず、おいしく頂けた。
2006年12月9日 常陸大子駅前玉屋旅館で購入(1050円)
昔「しゃも」という鶏肉を食べたことがある。しゃもというのは闘鶏用に育てたニワトリのことであるが、その味は普段食べている鶏肉とは全く異なるものであった。肉が引き締まっていて堅く、噛めば噛むほど味が出てくるのである。
茨城県の奥久慈地方ではそんなしゃもが有名であり、常陸大子駅の駅弁になっている。もっともこの駅弁、駅弁としては割と新しい方であり、駅前旅館が調製した弁当が少しずつ話題になり、ついには駅弁として登録されたという敬意を持つ。
弁当はしゃもの切り身が10切れほど、あとゴボウと炒り卵と漬け物といったシンプルなものである。発泡スチロール製の容器や、立派な割り箸が備え付けられていることから、いわゆる「駅弁」と比べると、少し駅弁らしさに欠ける微妙な駅弁である。
しかし、食べてみると微妙な気持ちは完全に吹っ飛んだ。肉は、確かに昔食べた「堅くて噛めば噛む程味が滲み出てくる」しゃもの切り身そのものであり、非常においしくいただけた。常陸大子は便利なところではないが、是非一度食べていただきたい。
ちなみに、この駅弁を買うにあたっては、あらかじめ玉屋旅館に電話で予約をすることをお薦めする。(駅構内だけではなく常陸大子駅前の旅館でも販売している)
2005年7月9日 上野駅駅弁売店で購入(800円)
天下の東京にも「鶏飯駅弁」はある。しかし、ここではまず、使用材料が大体同じで知名度ははるかに高い「チキン弁当」を紹介したい。
コラムニストの泉麻人も出張の時には必ず買い込む、手提げにもなるパッケージがユーモラスな、昭和40年代より売られ続ける有名駅弁。東京駅の他、上野駅、新宿駅でも手に入る。
汽車旅の際、子供があまり好みそうでない和食中心の駅弁の中から「これなら」と買ってもらった記憶のある人も多いかもしれない。中身も期待を裏切らない、子供が好きそうなチキンライスと鶏唐揚げで占められている。この手提げ状の容器を手にしてワクワクしていた子供時代の記憶がある人も多いのではなかろうか。
悪く言えば「時代・地域考証が中途半端な洋食風」と言えるのかもしれないが、地域性とか時代性とかが平均化されちゃって「地域色がないのが地域色」になってしまっている、「首都」らしい駅弁とも言える。さらに、熱烈な鉄道ファンである子供の支持を一身に集める、「日本の鉄道の中心」に相応しい駅弁、とすら言えるだろう。
ちょっとチキン弁当を誉めすぎたかな?かくして、チキン弁当とほぼ同じ昭和42年に製造された中距離電車の車内で、ニンマリしながらご開帳。レモンを鶏とレタスに絞りかけて、いただきます。
あれ?
食べてみて意外に思ったのが、全体が薄味だったこと。子供の時親に作ってもらった(それを真似て自分で作ってみた)チキンライスも鶏唐揚げも、自分が小学生の時に親にねだって買ってもらったチキン弁当も、もっと塩辛くて濃い味だったような気がする。
長い間売られてきたチキン弁当は、時々に応じてつけ合わせとかデザートとかが少しずつ変わっている。味が健康志向の薄味になったのも時代の要請を受けての事かもしれない。
2005年9月2日 新宿駅コンコース駅弁売店で購入(780円)
で、その東京の鶏飯駅弁を買ってみる。日本の駅の代表に相応しい内容か、それとも地域性みたいなものが平均化されちゃって味気ない代物になっているか。
この弁当は朝買ったのだが、事情があってなかなか封を切れず、食べたのは昼食の時間帯。その間半日ほど電車の中で持ち歩いた。
半日持ち歩いて中身が乱れ気味なことを差し引いても・・・。見た目はおいしそうには見えない。手造りのような温かみも無く、かといって工業製品と呼ぶには造りが雑であり、両者の悪いところが混ざっているように思える。特に、味気なく機能一辺倒な白いプラ製トレーと、人参とコンニャクの煮汁が不味そうにごはんに染みているようにも見えるのがマイナス。
ガッカリしながら箸をつける・・・「んまいじゃん」。
鶏もそぼろもごはんも抵抗無くスルスルと胃の中に入ってゆく。しかしこの弁当で注目したいのは他にくらべて多種類入っているキンピラと煮物類。見た目は茶系一色で単調なものの、懸念されていた煮汁の染み込みもなく、単調になりがちな鶏飯での食事を豊かにしてくれた。
胃の中に収まってしまえばおいしく頂けて満足できる、しかし東京圏で駅弁を買うときは、もう数十円プラスしてチキン弁当か健康系弁当(数種類あります。比較的安くておいしい)を選んだ方が、より満足できるような気がする。
2005年9月2日 新宿駅中央線ホーム軽食売店で購入(500円)
新宿駅のホーム売店だけで売られている駅弁。「復刻」とあるのは、これの弁当は十数年前に一旦消滅したものを復活させたものである。
この弁当の特徴は、「値段が安い」(1食で500円)のもさることながら、そのまま電子レンジに入れられる(パッケージに注意点が書かれている)こと。コンビニ弁当に真っ向から勝負を挑んでいる。現に、新宿駅のホーム売店ではコンビニ弁当とも並んで販売されていた。
それでいて、味はコンビニ弁当よりも良く、「駅弁」と名乗って恥ずかしくないものだと思う。電車内で、短めの箸でコンパクトな容器をホジりながら食べると、もう本物の駅弁である。ただ、おかずが鶏そぼろだけでいささか飽きてしまうのも事実。バブル華やかな時代だった平成3年に一旦滅びてしまったのも分かる気がする。
この弁当、500円と安価で容器もコンパクト(電車内では非常に扱いやすい)だが、容器の底が深くて食べていてボリュームがある。カロリーも同じNREグループの「鳥めし」と比べて約1.5倍多く1000Kcal近くある。「新宿」から連想される「山男」に通じる質実剛健さを感じた。
おいしかった。見た目とか味とかは並の駅弁よりも「駅弁」風だが、値段・便利さにおいてコンビニ弁当とも言い勝負ができる。このへんが復刻して数年しても健在している理由もしれない。
注意:この弁当は新宿駅でも販売場所が限られている模様で、2005年8月現在、新宿駅連絡通路とかの駅弁売店では発売していませんでした。欲しい方は新宿駅の売店(ホーム上の軽食売場が良い)をこまめに探すのが吉。
ちなみのこの駅弁、パッケージをよく見ると「しんじゅくえきのとりめし」が縦横市松模様で書かれている。こういう小細工、結構好きです。
2005年9月2日 塩尻駅中央本線ホーム売店で購入(610円)
長野県の塩尻駅で売られている鶏飯駅弁。容器は列車内で扱いやすい小振りなサイズであり、値段も安価である。野沢菜入りが「長野産」であることをアピール。でも塩尻って野沢菜の産地だったっけ?どっちかというと長野以北の北信地方の産物というイメージがあるが。
まぁいいかということで開封。この弁当、容器がコンパクトで、値段も安価でイイ感じである。
弁当を買ってから数時間経過。作られてから時間が経っているのだが、容器が吸湿性が良い経木(昔懐しいですね)のお陰か水っぽさを感じることなく頂けた。
食べていると、そぼろと刻み野沢菜、下の茶飯が口の中で合わさる。最初「野沢菜入り」と聞いて「!?」とも思ったが、そぼろと一緒に咀嚼してみれば、これが結構合うように思えた。
で、この弁当の真ん中に鎮座する鶏は、排骨みたいに揚げてある。ボリューム満点、弁当の小ささに似合わず、育ち盛りな世代も満足できそうだ。
2005年9月2日 名古屋駅地下通路売店で購入(880円)
竹製の容器に、味の濃さそうな茶飯、名古屋コーチンの照焼き、山菜と沢庵が載るった駅弁。新宿・塩尻と安価・コンパクトでボリュームある鶏飯駅弁を見てきたからか、嵩張る竹製容器の底に紙皿が敷いてあるためか、見た目よりもかなり少量な印象を受ける。
パッケージの隅には、「純系名古屋コーチン」のシールが張ってある。これは、「愛知県が作った種鶏を、愛知および隣接県に位置する信頼ある生産施設で孵化・育成・処理した」鶏肉に貼られるものである。早速、そのコーチン様を口に入れる。他の肉とは違い、肉の中程にコリコリというかシコシコした食感があるように思えた。「名古屋コーチン」を意識して食べたのはこれがはじめてであり、大きく誤解しているかもしれないが、「成程」と思った。
鶏もごはんも、見た目から受ける印象どおり、強めの味噌風味がする。しかし、見た目とは異なりそれほどコッテリしつこい感じはしない。パッケージにある「名古屋の味」とは、こういう味を指すんだろうか・・・。と考えているうちに完食。
最後にのこった容器だが、結局捨てられずに丁寧に持ち帰り、ボンドで補修しつつ使用している。
2005年9月2日 名古屋駅地下通路売店で購入(850円)
名古屋は「名古屋コーチン」と呼ばれる鶏の名産地であり、また仙台同様複数の駅弁業者が入る駅弁の激戦地である。で、この弁当は上で紹介した「純系名古屋コーチンとりめし」とは別の業者が作る鶏飯駅弁。
経木で作られた容器に入れられた「わっぱめし」に仕立てられており、味付けも上の「とりめし」が「名古屋」を彷彿とさせるコッテリ甘辛風味だったのに対し、こちらは醤油でサッパリと仕立てられている。「名古屋感」は上の「とりめし」よりも感じにくいものの、山菜・ごぼう・椎茸・うずら卵と具が盛り沢山であり、上の「とりめし」とは違った美味しさが楽しめる。
(追記)あ。でも。鶏飯で「名古屋」を感じたいのなら「コッテリ甘辛風味」を表に出した「純系名古屋コーチンとりめし」の方がいいかな。どちらかというと、この「わっぱめし」は、名古屋から北に向かう特急「ひだ」「しらさぎ」車中で味わうのに向いているように思える。
2005年10月15日 名古屋駅地下通路売店で購入(1,050円)
これまでに挙げてきたような「米とその上に載る鶏とその他若干のオカズ」といった鶏飯駅弁に留まらず、「名古屋コーチン」の地元である名古屋駅では、こんな鶏飯駅弁も売られている。
幕の内弁当のような外見なのだが、向かって左のゴハンの上には鶏そぼろと卵そぼろとの親子。向かって右側が鶏肉を使ったオカズのオンパレード。鶏だけで幕の内弁当を作るとこんな感じになるのだろうか。
多種多様なオカズは、若干広めのテーブルが使える特急列車の車内で、ビール片手の時だったら、非常に重宝するに違いないと思う。しかし残念ながら筆者ガこれを食べたのはテーブルなど無きに等しい快速列車の車内、しかも時間帯が朝だった為ビールも自粛。特急に乗れない貧乏旅行の身の上、この「とり御飯」から受けられるはずの有難みが半減した状態で食べることになってしまった。
そういった「悪条件」の中でもキラリと光ったのが、右下の「鶏ささ身(?)のマヨネーズ和え」。ここだけが(イイ意味で)筋張っていてしかも個性的なマヨネーズ味。この弁当を食べる上でこの上ない「箸休め」となった。
いやはや「鶏」が「箸休め」になるとは・・・。この弁当のポテンシャル推して知るべし。でも、できれば、次は「名古屋での仕事がうまく行った帰り」に。
新幹線の車内で、会社の上司と「アサヒスーパードライ」の缶ビールを、うまく行った仕事を労いつつ乾杯しながら味わいたい。こういったシチュエーションで味わうのが、この弁当の「最上の味わい方」に思えてならない。って・・・考えすぎ?
2005年9月4日 日出谷駅前朝陽館で購入(700円)
大きい時刻表の下には、沿線の駅で売られている駅弁が紹介されている事がある。郡山と新津とを結ぶ磐越西線のページの下には「日出谷駅:とりめし500円」だけがポツンと書いてあった。何故、快速すら通過する小駅で駅弁が売られているのか?値段が安いこともあって一旦試してみようと思っていた。しかし当の日出谷駅は「快速」すら停まらない新潟県の奥、「一旦試してみる」にはあまりに立地が不便である。億劫がっているうちに、欄外の「日出谷駅:とりめし500円」は消えてしまった。
しかし、この磐越西線でSL列車の運転が開始されると、値上げはされたものの「とりめし」の販売が再開され、駅では飛ぶように売れているという情報が入ってきた。この機会に、長年気になっていた「とりめし」を買って食べてみよう。
まず、この駅弁を製造販売している朝陽館に予約の電話。自分が車で日出谷まで買いに行こうとしているが、このような客が存在することで、本来の「客」のもとに届く駅売りにまわる分が減ってしまう。そうならないよう、車で日出谷まで来る人は予約をしたほうがいいと思う。実際、車で日出谷駅まで乗りつけて「とりめし4つ有りますか?」と尋ねた客に、朝陽館の店主が「予約はしました?」と訊き返しているのを見かけた。
で、予約で告げた時間までにレンタカー日出谷駅前の朝陽館まで行って商品を受け取る。買ったはいいが、自動車運転中に「駅弁」を食べるのは困難である。結局この駅弁に箸を付けたのは帰りの電車の中。
蓋を開けると、鶏そぼろと卵そぼろがごはんの上に敷きつめられており、あと椎茸・人参の煮物やコンブの佃煮と漬物が載る。デザートにパイナップルが載る。現代からみれば随分レトロな弁当である。
では、いただきます。
鶏と卵のそぼろに結構甘味がある。甘い桜でんぶかけた弁当を食べているようでもある。おかずの煮物・佃煮の塩気がいっそう強く感じられる。こういう弁当、久しく食べていないような・・・懐しい気持ちになった。
見た目も中身も、現代の流行りから比べると方向性が違うような気もするが、しかし、それもこれも含めての「日出谷のとりめし」だと解釈したい。
2005年11月13日 大宮駅駅弁売場「旨井門」で購入(800円)
作者が「とりめし大好き」になったきっかけの、高崎駅弁「とりめし」。
地元スーパーの駅弁フェアに並ぶほどメジャーな駅弁ではなく、高崎駅まで買いに行かないと入手できないと思っていた。しかし大宮駅の駅弁売店で売っているのを見て、15年ぶりに購入。帰宅後、早速食べてみた。
弁当は、醤油味の茶飯の上にそぼろと2種類の鶏焼きが載り、つくねと玉こんと漬物と甘栗が付いてくる。見た目は真茶色で、ヒモ綴じの古風な梱包も相まって、昔懐かしの安かろう不味かろうな弁当の印象を受ける。しかし。
やはり美味しい弁当だった。茶色の各々が微妙に異なる食感、異なる味で、食べていて全く飽きが来ない。噛むと味が滲むそぼろ、はらりと身が口の中でほぐれるコールドチキン、炭焼きの香りがほのかにする鶏照焼き、滋味あふれる茶飯。どれもこれもが15年前と変わっておらず、15年前美味い美味い言って一気に平らげた時と同じように美味しい。
食べ始まったら止まることなく、一気に食べ切ってしまった。
特にびっくりしたのが、付け合わせのつくね。15年前の小学生・中学生の頃は気にも留めなかったが、今回改めて味わってみると、こんなに力強い歯応えのつくねは過去食べたことがない。非常に頼もしいつくねであった。
訳あって今回は家で食べたのだが、次回は是非旅行中の車窓でこの弁当を味わいたい。
2006年1月14日 京王百貨店新宿店イベントで購入(520円)
都会の大きなデパートで開催される「駅弁まつり」。東京に所用があったついでに顔を出してみたが、時間帯が悪かったのか、鶏飯関係では、この「菜の花弁当」しか無かった。まぁ小振りで安価であることから、「遅い夕食にでも」と思って買ってみた。
この弁当は、千葉県の花である「菜の花」に見立てた卵そぼろと鶏そぼろ、それに焼アサリが載った、比較的シンプルな弁当である。しかし、実際に蓋を開けてみると、容器の底が割と深い。この弁当は、新宿の「復刻とりめし」と同様、コンパクトで安価な見た目とは異なる「実力派」であり、これ1食で十分に腹がふくれる。
味付けは甘口。子供の弁当みたいな気がしないでもないが、串に刺さった焼アサリの食感と塩気が、いいアクセントになっているように思われた。
ほんのり甘口な弁当を匙で掬って食べていると、何故だか分からないがパッケージに標記された「常春の国」のイメージが、どことなく湧いてくるのであった。
2006年1月21日 カスミストアー平須店で購入(850円)
羽田空港で売られる「空弁」、つまり駅で売られる「駅弁」の空港版である。自分は飛行機にはあまり乗らないため事情に疎いのだが、ここ数年で普及した弁当のジャンルであるらしい。ちなみにこの弁当は地元のスーパーで「駅弁フェア」が開かれていた際に買ってきたもの。
スーパーで普通に売られているパック詰め弁当や、駅弁フェアで並んでいた他の駅弁と比べても、容器の細長さが目立つ。家で食べるとどうという事はないのだが、飛行機の座席でこれを食べる事を考えて、「細長さ」の意味が理解できた。飛行機の場合、列車とは違って、横1列に3人〜4人といった多くの人が腰掛ける座席になっており、そういう空間で横に広い弁当を食べると、肘が横の人にあたってしまう。この弁当を飛行機の中で広げる人がどれだけいるか不明だが、ちゃんと「飛行機の中で食べられる」ことを意識した造りとなっていることに感心した。
その弁当をいただく。
モチモチしたごはんの上に、鶏そぼろとししとうが載るシンプルな構成。そぼろは、そぼろを食べ慣れた人であればあるほど一瞬ギョッとするほど粗挽きにされており、食べるとコリコリした食感が楽しめる。ごはんも、他の弁当でよくあるような圧縮して詰められたものではなく、ふっくらした食感が味わえるものであった。
2006年9月19日 札幌駅地上弁当売場で購入(710円)
海鮮系の駅弁が幅を効かせる北海道で、逆に目を引く平凡な駅弁である。1食710円と値段は平均的。
器の半分を占めるのは、上にシメジと枝豆が乗っている、鳥とゴボウを醤油味で炊き込んだ炊き込みごはん、オカズは鶏焼き2切れ、ウズラ卵、蒸シューマイ、人参とコンニャクの煮物、漬物といった感じの「山の幸」で固められている。
鶏焼きの鶏は比較的小さいものの、噛むとしっかりとした噛み応えがあり、出来のよさを感じさせる。炊き込みごはんの鶏は小さく刻まれており、むしろシメジやゴボウの方が存在感があるくらいであった。
ほかの鶏飯駅弁と比べれば素朴で地味な駅弁であるが、北の海の幸を腹一杯食べるであろう北海道の旅行者からすれば、このアッサリ具合が逆に受けるのであろうと思う。地味な駅弁の割には支持を受け、車内販売でも扱われるまでになっている。ちょっと前の流行り言葉で表現すれば「癒し系駅弁」といったところか。オカズに海の幸が一切入っていないレシピ、ホノボノとしたパッケージのデザインなどからも、この駅弁のターゲットが読み取れるように思われる。
2007年6月24日 博多駅在来線改札向かい弁当売場で購入(1000円)
今年(2007年)JRは発足20周年。各社で様々な記念イベントが開催されている。それにあわせて販売されたのが、今回買ったのは博多駅で「JR20周年記念弁当」として売られていた「かしわめし」。かしわめしとは、九州北部の郷土料理である鶏(かしわ)料理の流れをくむもので、鶏の炊き込みごはんを主とした弁当・駅弁である。北部九州の郷土料理がもとになっているため、複数の業者が同系列の駅弁を発売しているほか、コンビニでも売られている。(こちらも参照)
折詰の手が込んだ箱を開けると、弁当はかしわめし(海苔、錦糸卵、鶏そぼろ)を主体に、海老、唐揚げ、だし巻き卵、煮豆等さまざまなおかずが載った幕の内風。ごはんの上にはニンジンをくり抜いて作った「JR」マーク(でもニンジンの色だと、JR九州(赤)ではなくてJR東海(オレンジ)ですね)、だし巻き卵には「寿」の文字が焼かれており、かなり手が込んおり、色合いも具材も豪華で、華やかな気持ちにさせられる。
期間限定の弁当だが、普通のかしわめしとは異なりおかずが多いので、おかずを酒の肴にして新幹線の中で一杯やりながら味わうのに向いているかもしれません。
ちなみにこの弁当、新幹線の改札を入った後では買えない(新幹線はJR九州ではなくJR西日本)ので、ご注意を。
2007年6月24日 博多駅在来線改札向かい弁当売場で購入(750円)
一方、こちらは普通のかしわめし。北部九州の多くの駅で購入することができる(今回は博多駅で購入)が、宇都宮駅と並んで今なお駅弁の立ち売りが行われている折尾駅の弁当として紹介するのが良いかも知れない。ちなみに「かしわめし」として販売される駅弁は様々なタイプがあり(新幹線の改札内では別の調整会社のかしわめしが購入できる)、またおかず付きのと無しのとが選べる。
今回購入したのはおかず無しのかしわめし。海苔、錦糸卵、鶏そぼろの3色が茶飯の上に飾られたかしわめしに、煮豆、佃煮、漬物が載るだけのシンプルな構成である。
茶飯はほんのりと甘味があり、おかず無しでも十分に食が進む。鶏そぼろはかなり甘辛く味付けがされている。そのままでも十分美味しいが、付け合わせの紅生姜と合わせて食べるとサッパリと美味しく食べることができる。
「かしわめし」は郷土料理であり(調べてみたら、東筑軒でも家で家族で分け合って食べる特大サイズのかしわめしを販売しているらしい)、弁当としても他の調整会社を含め多数販売されているので、今度は他の会社のものも試してみようと思う。
2008年9月6日 小倉駅弁当売場で購入(750円)
小倉駅のかしわめしを試してみる。有名な折尾駅と同じ市内であるが、調製元は異なる。
そぼろ、卵、海苔の3色は変わらないが、付け合わせは青豆のみとさらにシンプルな構成だが、茶色、すなわち肉の部分は折尾駅のそれよりも若干多い。折尾駅のそれと比べ、そぼろが粗く引いてあり噛みごたえがあること、肉・卵に甘味が付いていることが大きな違いである。
ちなみに、立てた状態で持ち歩くと、弁当の構成の関係か全体が一様に圧縮されてしまうが、オカズがあっちに飛びこっちに飛びはしないのはメリットである。
2008年10月19日 宇都宮駅「旨井門」で購入(950円)
郡山駅の鶏飯。普及しつつある駅弁専門売店のおかげで、地元以外でも入手ができるようになった。
構成はオーソドックスな、そぼろ、卵、海苔の3色。これの上に鶏肉の焼き物と長い山菜の煮浸しが入っている。味付けもオーソドックスで甘過ぎず辛すぎず人によっては減点要素にもつながりかねない個性もなく食べられた。しかし鶏の上に乗っている山菜の煮浸し、これを時々齧るのがいいアクセントになり、単調な食事にバリエーションが付いた。