未来が壊れていく…




 その4

 

 ■南極の棚氷が崩壊する■
 
 
 
 New! <融けるペース、10年前の1.75倍に>
 米航空宇宙局(NASA)ジェット推進研究所は、08年1月23日、温暖化によって南極の氷床が融けるペースが加速しており、06年は10年前の1.75倍になっていた、と発表した。衛星によるレーダー観測で、氷床の減り具合を15年間に渡って分析しているもので、96年には年間1120億トンだった氷床の消失が、06年には年間1960トンにも達していた。(08年1月24日朝日夕刊)
 
 
 <氷割れ、続々と巨大氷山出現>
 2002年から2003年にかけて、南極大陸の氷にヒビが入り、巨大氷山の流出が相次いでいる。2002年のはじめに見つかった巨大氷山は5個で、3月に見つかった「B−22」は千葉県の面積を上回る大きさ。また米国立氷センターが5月17日に公表した「D−17」は、大西洋側に張り出した氷河に亀裂が入って出来た氷河で、面積は東京23区並みという。(02年5月27日日経)
 さらにNASAは2003年10月、幅32キロ、長さ200キロと、大分県並みの大きさの巨大氷山が、ロス棚氷から分離して流れている様子をとらえた衛星写真を公表した。(03年10月2日朝日夕刊)
 
 
 <埼玉県の大きさ、一気に崩壊>
 米コロラド大や英国南極観測局などによる国際研究チームの発表によると、南極半島付近で「ラーセンB」と呼ばれる厚さ220メートルの棚氷が、2002年1月末からわずか35日間で、3250平方キロメートルと埼玉県ほどの広さに渡って急激に崩壊したことを確認した。今回は海に浮かぶ棚氷の崩壊だったため、これによる海面上昇は起きないが、陸地にある棚氷が崩壊すれば、海面上昇などの可能性がある、としている。(02年3月20日読売夕刊)
 
 
 <崩壊の瀬戸際、とNASAが警告>
 これより先、NASAの研究チームは01年1月、南極大陸から海上に張り出している巨大な棚氷が、南極の夏の気温が高くなるだけで崩壊し、世界的な海面上昇を招く恐れがある、と警告している。従来は、南極の年平均気温が摂氏0度を大きく下回っているため、棚氷の崩壊の可能性は少ないと見られていた。研究チームは98年に一部が崩壊したラルセン棚氷の崩壊メカニズムを分析し、夏の気温が0度を上回り氷の表面の一部が融けて亀裂に流れ込むと、水がクサビの作用をして棚氷が割れることが判明した、としている。
 南極最大のロス棚氷は、崩壊すれば数メートルもの海面上昇をもたらすとされているが、南極の平均気温は過去50年間に2.5度上昇しており、ロス棚氷付近では最近の夏の気温が、4度から6度まで上昇している。研究チームでは、「崩壊の瀬戸際に近づいている」と指摘している。
 
 <崩壊始まったラルセン棚氷の行方>
 98年4月、南極で最も南米に近いラルセン棚氷の一部が崩壊を起こし、大崩壊の前兆か、と世界の研究者の注目を集めている。ラルセン棚氷は全体の面積が、1万2000平方メートルと新潟県ほどの面積がある巨大棚氷で、そのうち約200平方メートルが本体から分離して崩壊した。この棚氷は、南極の中でも比較的気温の高い位置にあるため、地球温暖化の進行を示す指標とされている。
 
 
 
 <南極海の水温が急上昇>
 カリフォルニア大学の研究チームによれば、南極の海水温は1950年代以来、世界平均の2倍近いペースで急上昇しているという観測結果が出た。(2002年2月20日朝日夕刊)
 
 
 <予想を超えるスピード>
 米環境シンクタンクの地球政策研究所が02年3月12日、最新の研究として発表したところによると、地球温暖化の進行で、南極の氷は従来の予想を超えるスピードで解けつつある。南極半島の両岸の棚氷は、50年代から97年までに7000平方キロが失われ、その後の1年間ではさらに3000平方キロが失われた、という。
 「気候変動に関する政府間パネル」(IPCC)は01年1月、南極や北極の氷の溶解により2100年までに海面が9−88センチ上昇するという予測を公表しているが、同研究所は「最新の研究成果を総合すると、予測を高めに修正する必要がありそうだ」と指摘している。
 コロラド大学のマーク・マイヤー名誉教授らも、「IPCCの予測は控えめで、もっと早いペースで海面が上昇する恐れがある」と警告している。(02年5月27日日経)
 

 
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