File No.005

ああ、懐かしの"定番菓子"・1



今回のじみガシ万歳は、「ああ、懐かしの定番菓子」。
今でも店先に並んでいる、
私caicoが小さい頃、ホントによく買ってたお菓子の「定番」と
それにまつわるエピソードをご紹介します。

さて、今回、はじめにご紹介の私の定番菓子は…。






定番菓子その1…ボールのチョコ




ボールチョコ。
子供の頃、よく買ってた私の定番菓子。
先日スーパーのお菓子売り場で見かけ、懐かしさからつい、カゴに入れてしまった。
でも、当時買ってたのはこんな1ネット10個入りとかじゃなくて、
1個5円とか10円とかでばら売りされてたヤツだったけど。

どうも私は、ボールチョコのこの銀紙に弱いらしい。
中身は何の変哲もないただのチョコなのに
銀紙に包まれているだけで、とてつもなく美味しそうに感じてしまう。
なぜなんだろう。世代的なことも関係してるのかな。

もちろん「ガーナ」みたいな同じ"銀紙系"の板チョコも大好き。
けど、子供の頃の「定番」といったら、やっぱりこのボールチョコ。
なによりも安価でお手軽なところが、子供caicoにはグッときたわけで(笑)。

さて、ボールチョコというと、思い出す話がひとつあるので、
それをちょっとご紹介。

↓↓↓




小学校の5・6年生くらいだったと思う。
私の住んでいる町に「平凡アワー」がやって来た。
「平凡」といったらあの「月刊平凡」。
当時「月刊明星」と並んで
2大芸能アイドル情報誌として名をはせていた。
その「平凡」が主催のラジオの公開放送、平凡アワー。
ゲストは研ナオコ、堺正章(だったかな?確かそんな感じ)、
そして「港のヨーコヨコハマヨコスカ」でおなじみ、
宇崎竜童率いるダウンタウンブギウギバンド。
それほど好きなタレントが出演するわけではないのに、なぜか凄く行きたくて、
(芸能人なら誰でもいいんだよね、小学生って。たとえサブちゃんでも大木凡人でも)
結構大人っぽい記事もあって
当時の小学生にはまだちょっと早い感のあった「月刊平凡」を、
ちょっぴり後ろめたい気持ちを抱きつつ
友達と4人で親にだまってこっそり購入して、
なんとかオマケの「入場券」を手に入れた。

「平凡アワー」の会場となる市民会館は、
私たちが通う小学校からほんの数分のところにあった。
コンサートなど、主要のイベントはほとんどそこで行われていたので、
森進一がリハーサルをしてると聞けば、友達とすぐ駆けつけ
会館裏の、搬入口のぶ厚いドアに耳をあてて聞き入ったり、
(しつこいようだけど、子供は芸能人なら誰でもいいからね!)
ピンクレディーのコンサートがあると聞けば
帰るところを一目見ようと、楽屋裏の出口で張ったりしたものだ。

さて、公開放送当日。

小学校の校門の前でおち合った私達。さぁ、いざ出発!…とその前に、
どうしても立ち寄らなければいけない、ある場所があった。

校門からほんの数十メートルのところにある、駄菓子屋のホシノ。
目的はもちろん、お菓子の買出し。だって、
平凡アワーを観ながら食べるお菓子が必要でしょ、当然。
"頭の中ほとんどお菓子"の子供には、
公開放送にだってお菓子は絶対不可欠だって。

ホシノはおばあさんがひとりで切り盛りする小さな駄菓子屋。
学校のそばだから、ノートとか文房具類も少しだけ置いていた。
といっても、緊急な時(やぱ、シャープペンの芯きれちゃったよ〜みたいな時)以外は
そこで文房具を買う子は殆んどいなかったけど。
ノートなんかいつもほこりかぶってたし。
でも駄菓子は別。下校時や休日には
入れ替わり立ち代り、子供たちで店内は一杯だった。
…それも結局、他に駄菓子屋が無かったからなんだけど(笑)。

そんなホシノに校門からほんの数十秒で着いた私たち。
早速「平凡アワー」用のお菓子を選んだ。
友達は「カレーあられ」やら「杏ジャム」やら、色々と買っていたが、
一応音楽を聴きに行くわけだし、いくらなんでも「あられ」系はいかがなものかと、
私は食べてもさほど音がしない、
当時お気に入りだった例のボールチョコ(サッカー&野球)を買うことにし、
ケースからボールチョコを適当に5、6個選んで、おばあさんに手渡した。

パラパラした白い小さな紙の袋(これも駄菓子屋の定番!)にチョコを入れて、
袋の口を持って器用にクルクルっと2回転させながら、
おばあさんが、驚くべきある言葉を口にした。

「あんたたちブギ…観にいくんだろ?」

「えっ?」

ブギブギ観にいくんだろ?」

!!!

おばあさん、なぜブギブギ。
おばあさんが若い頃にだって、♪東京ブギウギ〜♪というヒット曲が、
名曲があったでしょう。ブギウギという響きも聞きなれてるはずでしょう。

ていうか、めちゃくちゃ笑いたいんだけど。
笑って笑って笑い飛ばしたいんだけど。

「やだぁ、それをいうならブギウギでしょう〜あははっ!」

そんな風に笑い飛とばせるくらいだったら、その後の私の人生も
もうすこし楽だっただろうに。

私は人の間違いを指摘するのが大の苦手だ。
と同時にそれは
人に自分の間違いを指摘されるのが嫌だということを意味する。
つまり自分の嫌なことは相手も嫌なんだろうと思い、
明らかに相手が間違っていても、
それを指摘することにどうしても躊躇してしまうのだ。。
だからって、高校時代、
ある同級生の「手塚理美は手塚治虫の娘」という
とんでもない大間違いの発言にすら反論せずにそのまま流したのは
自分でもかなり重症だとは思うけど(笑)。

だが、これは
「相手の嫌がることはしてはいけない」といった
相手を思いやるような気持ちでは決してない。
相手を思うのであればむしろ指摘するのが当然だろう。
結局は、指摘した後の気まずい雰囲気(あくまで自分が感じる)に
耐えられないだけなのだ。
臆病者、そして、ある意味卑怯者。

ホシノのおばあさんの問題発言に、
臆病で卑怯な私は
笑いたい気持ちを奥歯でかみ殺し、
突っこむどころか満面の笑みでうなずいて
その場を後にし、
店を出てしばらくしてから、思う存分大爆笑した。
(……とことん卑怯者だな、私は)


確かにそれほど好きなタレントが出演するわけじゃない平凡アワー。
でも、当時本当に大人気だったダウンタウンブギウギバンドは
こんな私でも内心結構楽しみにしていたのは事実だ。

「スモーキング・ブギ」「カッコマンブギ」
「港のヨーコヨコハマヨコスカ」

♪ちょっと前なら覚えちゃいるが〜♪
なんて
生で聴いたら、かなり得点高いでしょ?
行けなかった友達や家族にも自慢できるし。

友達の一人は研ナオコのファンなんだそうで(この時はじめて聞いた)、
「これナオコちゃんに渡すんだぁ」と言って、
たぬきだかクマだかの、ちっちゃいぬいぐるみを持参してきていた。
果たして渡すチャンスなんてあるんだろうか。
ていうか、研ナオコ、これ欲しいか?
なんて疑問を抱きつつ、
いや、人それぞれの平凡アワーがあっていい、とかなり強引に納得し(笑)、
彼女が無事プレゼントを渡せるよう心から(?)祈った。

そして、いよいよ開演。

あまりに昔のことなので、うっすらとした記憶しかないが、
確か、研ナオコともうひとりのゲスト(ホントにマチャアキだったかな?自信ない)と

グループサウンズのメドレーみたいなことをやってたような記憶がある。
もちろん、それぞれのヒット曲(曲名わからず)も。

歌あり、笑いありで、思いがけなく、かなり楽しめる内容だった

でも私にとっての今回のメインは[ダウンタウンブギウギバンド」だ。

♪カッコマンになりたくて カッコマンになりきれない
カッコマンになりきれなきゃ それが悩みの種じゃん♪

聴きたい、メチャ聴きたい!
最初はそれほどでもなかったのに
時間が近づくにつれて膨らむ期待、盛り上がるテンション。
…しかしその期待は大きく裏切られることとなった。

待ちに待ったダウンタウンのオープニング。
リーダーの宇崎竜童から思いも寄らない言葉が伝えられた。

"これからの俺達を見てもらうために昔の曲はもう2度と演奏しない
"
(確かこんな趣旨の言葉だったと思う)

おいおい、聞いてないよ〜、一体どういうこと!?
私が期待していた「スモーキングブギ」も「カッコマンブギ」も
「港のヨーコヨコハマヨコスカ」も一切演奏しないってこと?
はぁ?新曲「沖縄ベイブルース」???

……ちょっとどうしてくれる?この気持ち。

なんともやりきれない気持ちをかみしめながら、

ステージに夢中でそれまでいっさい手をつけてなかったボールチョコを
一気にほおばる哀しき子供、caico。
でも、そんな時でもボールチョコはちゃんと美味しかった。
決して期待を裏切ることなく。どこかの誰かと違ってね。


そうか、わかったよ。過去の実績を否定するそんなあんたらは
ホシノのおばあちゃんの言うとおり、ブギブギってことさ……。


こうして甘く(チョコがね)切ない平凡アワーの長い1日は終わった。

……いや、まだあった!

研ナオコにぬいぐるみを渡すといっていた例の友達。
結局渡すチャンスもなく平凡アワーは終演してしまった。
で、彼女はどうしたか。
会場が明るくなり、観客の殆んどが退場しても、
そのまましばらく会場にとどまり、
せっかく持ってきたプレゼントをどうしようかと悩んだ挙句、
結局、後片付けも8割がた進んだステージの端に
ぬいぐるみの入った袋をぽつんと置いて帰りましたとさ。

めでたしめでたし……でもないか(笑)。








ああ、懐かしの"定番菓子"・1



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