優れものFILE NO.003
本物の犬の愛らしさをそのまま表現
ザ・インテリア 犬の置物 ダイソー
100円ショップのインテリアグッズはダメだダメだと言われがちですが、
でも実際良くみると、そうでもないんですよ。これが。
どうでしょうか。この3匹。よく出来てるでしょ。
ダイソーにはたくさんの動物の置物がありますが、
この3匹は今まで私が見た中ではもうとびきりのリアルさだと思います。
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![]() 中学3年生の冬。12月のとある日曜日の朝。 誰かが家の玄関のドアをノックした。 ”トントン” 「はーい」 ちょうど玄関前の廊下にいた私は ノックの音からほんの数秒も経たないうちに 急いでドアを開けた。が、誰もいない。 すぐに窓の外を見たが人の気配すらない。 「今誰かトントンって叩いたよね」 「ああ、聞こえた」 そばにいた兄の耳にもノックの音はしっかり聞こえていた。 あ。 ある”不安”が頭の中をよぎる。 兄と私は急いで庭に居るはずの 「彼」のところへ急いだ。 ************* 「彼」が我が家にやって来たのは、私が中学1年生の時。 すでに成犬だった。 どういう経緯なのかはよくわからないが、 断ることが”大の苦手”の母親が、知り合いにどうしてもと頼まれて、 仕方なく引き取ってしまったようだ。 成犬の、 しかも正確な年齢すらわからない この犬を飼えって? 正直かなり不安だった。 第一、すでに大人になってしまっている犬が、 そう簡単に馴れてくれるわけがないし。 だが、そんな不安を抱える私とは全く対照的に、 連れてきた”張本人”は呆れるほどアッケラカンとしていた。 「純粋なセッターみたいだし、頭も良さそうだし、すぐ家にも馴れるわよ。」 名前はどうしようかと家族皆んなであれこれと考えたが、 結局無難なところで、「ジョン」と決まった。 ************* 初めは近づくことさえも恐かった。 何せ成犬だし。身体はでかいし。 しかし、飼うと決めた以上大事にしてあげなければ。 とりあえずは 離れたところからビタワンとかお菓子を投げたりしながら 少しずつ慣れていくことにした。 初めは吠えられてばかりだったが、 地道な努力の甲斐もあってか、 次第に吠えられる回数も減っていき、 そして1ヶ月もすると、 私にとって(もちろん家族みんなにとっても)、 ジョンはかけがえのない”大切な存在”になっていた。 ************* 夕方、学校から戻ってから 近くの川原までジョンと散歩するのが私の日課だった。 散歩中のジョンは決して勝手な行動はとらず、 ちゃんと私の横に並んで歩いてくれた。 途中私が疲れて川原に腰をかければ すかさずジョンも寄ってきて 私の横にピタッとくっつくように座った。 日が暮れるまで、 ただ、ふたりで寄り添うように座ってる。 私はジョンとそんな時間を過ごすのが大好きだった。 ************* 我が家の一員になって1年ほど経った頃からか ジョンの身体の疲れが目立つようになってきた。 「本当はもう老犬なのかもしれないね」 「鎖、はずしておいてあげようか」 このころから私達はジョンを「繋ぐ」ことをやめた。 鎖をはずした状態でもジョンは 家の庭から一歩たりとも外へ出ようとはしなかった。 ただ、私や家族が帰宅する時を除いては。 私が家まであと50メートルくらいの距離にさしかかると、 向こうのほうから ゆっくり ゆっくり ジョンが歩いてくるのが見えた。 もうそれは必ず、驚くくらい正確に。 「何で?帰ってきたのがわかるの?ジョン。」 本当に不思議な奴だね、お前。 私は 迎えに来てくれたジョンと ほんの数十メートルの道を 一緒に帰るのが大好きだった。 ************* 「逝く」直前のジョンは、まさに「仙人」のようだった。 まるですべてを悟っているかのような穏やかな表情で、 いつも静かにひとり佇んでいた。 実際、この頃のジョンは 足腰もかなり弱っていて立つのもやっとの状態だったので 静かにジッとしているしかなかったのかもしれないが。 それでも私が側に行くと、 いままでと同じように、すくっと立ち上がり 私の横にぴたっと寄り添うように座り、 そしていままでどおりの優しい眼差しで いつも私を見つめてくれた。 ありがとう、ジョン。 最初は本当に吠えられてばっかりだったのにね。 私が顔を近づけると、 ジョンはいままでどおり、私の頬をチョコッとなめた。 私は 本当に本当に「ジョン」が大好きだった。 ************* 中学三年の冬。 あの”ノック”を聞いた12月のとある日曜日の朝から 一週間ぶっ通しで 私は 涙がかれるほど泣き続けることになる。 「彼」はまるで眠っているかのようだった。 身体の向きを変えることすらかなり困難だったのに その時の「彼」は前の晩とは逆の向きで (顔を隠すようにしっかり頭を小屋の奥に入れ) 静かに横たわっていた。 私達は家の庭の片隅に「彼」を埋葬し、 小さな墓を作った。 「彼」が逝った翌日の朝。 私は小屋を片付けに行き、 ちょっとしたある”異変”があることに気づく。 「彼」の使っていた毛布がない。 私はふとある方向に視線を動かした。 “あ。” 辛うじて止まっていた涙が再び溢れ出した。 不思議なことに 「彼」の大好きだったその毛布は 前日「彼」を埋葬したあの墓の前まで なぜか移動していた。 もう。 寒いなら寒いって、 言ってくれればよかったのに。 毛布はしばらくそのままにしておくことにした。 ![]() |